前回このブログで通過駅なのに停車してしまい、おまけに車掌もドアを開けてしまった京葉線での話を書きました。
その中で、私が勤務していた会社でも運転士が通過駅なのに誤って停車させてしまい、車掌もつられてドアを開けたケースは私が在職中に10件近くあったと書きました。
車掌がドアを開けなかったケースを入れると、おそらく過走(いわゆるオーバーラン)より件数は多いと思います。
そのくらい多いのです、誤停車って。
その中で今でも忘れられない一件について書いていきます。
運転士は停車させるときは必ず大きな衝動を残すことで有名だったベテラン。
車掌は夜間になると遮光幕(カーテン)を閉めて運転席に座り、運転室灯をともしてずっと小説を読んでいたこれまたベテラン。
そんなベテランのコンビがやっちゃったときの話です。
優等列車を担当していて、停車駅の次の通過駅に各駅停車と勘違いして止めてしまった運転士。
そして車掌はいつものように運転席に座って小説を読んでいて、列車が止まったから車掌スイッチを「開」位置にしてドアを開けてから
「〇〇、〇〇(駅名)です」
と車内へ放送を行った。
運転士が誤停車に気付き運転指令に列車無線で報告。
その先は間違えずに運転を続けて、交代の駅に到着して2人そろって休憩所へと帰ってきた。
列車自体は1~2分の遅れが出たのではないかと思います。
今なら(私が会社を辞めた数年前の時点ですが)すぐに事情聴取等を行うために会議室へ軟禁状態となるのですが、昔は担当の助役が軽く話を聞く程度。
すぐにバトルが始まりました。
運「なんでドアを開けるんや!開けんかったら何も起こってないねんぞ!」
車「アホか!お前が止めんかったら俺はドアを開けてへんのや!お前が悪いんじゃ!」
運「車掌は停車駅かどうかを確認してドアを開けるのが手順やろ!お前が悪いんじゃ!」
車「何を言うてるねん!運転士かてスタフ見て通過か止まるのかを確認するんやろ、お前が確認もせんと止めるのが悪いんじゃ!」
って感じで、ベテラン2人で責任の擦り付け合いが始まりました。
私を含めて他の乗務員は笑いをこらえるのに必死。
当人たちは顔を真っ赤にして血管が切れそうな勢いで言い合いをしていますが、どっちもどっちの子供のケンカそのものですからね。
結局はお互いに
「こんなやつと仕事なんかできん!」
ってことになって、予備勤務者が残りの仕業を拭くことに。
ちなみにこの二人のコンビは数年後にまた誤停車とドア開扉を行うというミスを犯します。
2回目の時も休憩所で責任の擦り付け合いが見られるかと期待したのですが、世間の風潮が数年でガラッと変わっていて、ベテランコンビは会議室に軟禁状態からの日勤教育へと進展し、残念ながら言い争いを乗務区で見ることはできませんでした。