2021年8月6日の夜に起きた小田急車内無差別刺傷事件。
事件の概要はネットなどにいろいろと出ているので割愛しますが、とりあえず言えることは防ぎようがない事件であるということ。
空港での持ち物検査のような徹底的な検査をしておればナイフなどの持ち込みは阻止できますが、現実的に新幹線をはじめ都市部の通勤路線の各駅で検査は実質不可能。
多くの人が検査を望めばできるかもしれませんが、乗車時間の最低でも15分前に駅にきて保安検査を受けないと電車に乗れないという状態になった時、ほとんどの人は反対しますよね。
今でも駅まで走ってきて電車にギリギリ飛び乗るなんて人が、保安検査を受け入れるとは思えないし。
でも今回の事件をはじめ、新幹線車内での刺殺事件や焼身放火事件などここ数年電車車内での事件が増加していることから、何らかの対策は必要だと思うのですがどうやって解決していくのやら。
ただ現実的に考えると、事件が起きてからどのように対処するのかを考えるべきなのかもしれません。
その一つが車内にある非常通報装置の押下になると思います。
今回の事件で非常通報装置が押されたのかは分かりませんが、乗客が車内を映した動画には「非常ボタンを押してください」とか「電車を止めてください」といった声が入っているので、ひょっとすると押されなかったのかもしれません。
こういうケースで多いのが、車掌または運転士へ直接訴える方法。
特に運転士の場合は、閉め切っている仕切扉をドンドン叩かれたところですぐに対処することはできません。
大きな声が聞こえてきたとしても、すぐに対処はできません。
当然ですが扉を叩かれても背後で大声が聞こえたところで緊急停車させることもありません。
ところが非常通報装置が押された場合には、運転士はすぐに列車を止めなければいけません。
車掌も非常通報装置を押された場合には、押された車両へ赴いて現場を必ず確認に行きます。
非常通報装置にインターホン機能が備わっているものが多いのですが、今回のような緊急の場合にインターホンで状況を説明する必要もありません。
その間に襲われたら大変ですから、とりあえず乗務員に緊急を知らせるということで押すことだけを考えてください。
今回の事件で犯人は客室のドアコックを操作してドアを開けて降りて逃走したそうですが、これ犯人が電車内にとどまって凶行を続けたとしたら、乗務員はいったい何ができるのか。
ドアを開けて乗客を車外へ逃がすことしかできないと思います。
運転士や車掌は犯人逮捕術なんて習っていないし、反撃できるような武器を持っているわけでもありませんから。
乗客を車外を逃がすにしても、電車を止めなければドアを開けることができません。
そう考えるとまずは車内非常通報装置を押す。
今回のように車内を逃げ惑う人から車掌や運転士が聞くと思います。
「ナイフを振り回してやつがいて女性が刺された」って。
そこですぐに乗務員は運転指令への通報と列車防護無線を操作して周辺の列車をすべて停止させる。
そのうえでドアをすべて開放して乗客に逃げてもらう。
現実的に考えるとこうなると思います。
乗務しているときにおかしな奴が車内で暴れたらどうしようということは何度も考えたことがありますが、車内で無差別刺傷事件が発生なんてことは考えたことがありませんでした。
でも現実に起こったわけですから、鉄道会社は早急に対策を立てて全乗務員に今回のようなケースに備えた訓練の実施は必須でしょう。
また乗客も自分の身を守るために、車内非常通報装置がどこにあるのかを乗車したら確認しておいてもらいたいです。
なにせ車両形式によって通報装置の場所が微妙に違っていたりしますから。