GWを過ぎたあたりから活躍が始まる空調設備。
私が勤務していた会社の車両の一部には急速暖房ができるものがあり、この急速暖房の場合は空調設備を使っていましたが、暖房はシート下のヒーターで暖めるので、冷房や除湿に送風運転が電車での空調設備のおもな使用用途です。
ちなみに急速暖房って冷え切った車内を一気に暖める際に使いますが、ある程度の温度になれば自動的に切れてしまうので、急速暖房を入れっぱなしという使い方はできなかったです。
夏の苦情の多くは冷房が効きすぎて寒い、または冷房が効いていなくて暑いというものです。
たまに同じ編成に乗車していた別々のお客さんが、寒いと暑いという別々の苦情を寄せることもあり、これは車掌がどうにかできるというレベルの話ではないので、どうしようもできない。
ただたまに多数の暑いという苦情が寄せられてその車両を確認しに行くと、どう考えても冷房が動作していないという状況に出くわすことがあります。
そういう時は車両の端の方に設置している配電盤の空調の関連スイッチをいったんOFFにしてからONにするという、又入れを行います。
それでもダメならば運転指令に報告して、車両課の方の助けを求める以外にはどうしようもできないです。
編成全体の冷房が動作していないこともあります。
この場合は乗務員室にある空調関連のスイッチ類を又入れします。
1つのボタンで編成全体の空調に指令を出すわけですが、上手く伝達されないこともあるので、操作元スイッチと呼ばれるスイッチの又入れで直ることもあります。
車両課の方を呼んだとしても走行中の車両の空調を修理はできず、結局はスイッチ類の又入れ程度しか対処できません。
ダメな場合は車両の振り替えの手配をするしかないですね。
車両課側の言い分というのか、よく冷房の送風口に棒状の温度計を差し込んでみて、既定の温度には下がっていますから故障ではありません、って言われることあります。
送風口で計った限りでは冷風は出ているけど、車両全体を冷やすことができないだけみたいな言い方をされるのです。
じゃあ風力を強めてくれと頼むと、それはここではできませんと言われて、車両の振り替えもせずにそのまま走行を続ける・・・
送風口当たりから水が漏れてくる故障も頻度は少ないのですがあります。
ダクトが詰まって天井裏に水が流れてくるのですが、これもさすがに走行中にはどうしようもできないと思っていたら、車両課の人が天井のパネルをはずして、水が溜まっている部分に雑巾をたくさん置いて
「これでしばらくは水は漏れません」
水漏れではないけど、湿気によって結露が発生してポタポタと水滴が車内へ落ちてくることもあります。
送風口周りの金属部分に付着した結露を拭き取るしかできないけど、結局は湿度を下げることができない空調の性能の悪さが原因だと思うのですが、水がかかったと怒鳴られる車掌にするとねえ・・・