車内灯に関するトラブルは本当に多い。
ただ消えない分に関しては旅客に迷惑がかかるわけでもなく、運転指令に連絡だけ入れておけばそれで問題はありません。
問題は点かないのと突然消灯することですね。
車内灯は通常は交流電源を使っています。
最近は車内灯の一部を直流化して予備灯としても使えるようにしています。
直流化すると蓄電池で点灯させることができますからね。
乗務員室のスイッチを操作することで編成全ての車内灯を一斉に点灯させることができるわけですが、乗務員室のスイッチは直流でリレーを動作せるためのものです。
各車両のリレーを動作せることで、車内灯を点灯させています。
ただ車内灯のリレーって頻繁に点けたり消したりを繰り返すためか、同じ編成内でも丈夫なリレーもあれば、少々電気を流しても働かないリレーもでてきてしまいます。
乗務員室で1回だけ車内灯のスイッチを操作した時に、車両によっては車内灯が点灯していないことも。
私が車掌時代に経験したものでは、乗務交代の駅に到着した際に交代の車掌に
「2・3・5両目の車内灯が点いてないぞ!」
って言われてから気付いたことがあります。
夕方でかなり暗くなっていた時間だったのに、2・3・5両目は電気も点かずに暗いまま走行していたわけですが、不思議と苦情などはなかったです。
今なら相当のクレームをもらうでしょうけど。
それ以降は車内灯の点灯スイッチを操作するときは、1回だけ操作するのではなく5~6回は必ずガチャガチャと操作するようになりました。
たまに何度も車内灯スイッチを操作したに関わらず、一部の車両の車内灯が点灯しないこともあります。
リレーの故障ですね。
こうなるとその車内灯が点灯していない車両の配電盤にある、車内灯短絡スイッチを入れて点けっぱなしにするしか手段がありません。
車掌・運転士時代を通算しても2~3度しか短絡スイッチで車内灯を点けたことはないかな。
あと困ったのは、走行中に勝手に車内灯が消えて予備灯に切り替わる車両ですね。
めちゃくちゃ古い車両で電気ブレーキのの無い空気ブレーキのみで、昔のコイルバネの車両だから飛び跳ねるように揺れる車両でした。
この車両を担当していると、なぜだか夜間などによく車内灯が消えて予備灯のみになることがありました。
車内灯が消えるということはMG(電動発電機)が止まって交流電源が供給されない状態ですから、走行中に措置を行うことはできません。
MGのNFB(MG起動用の低圧配線)を「切」「入」するか、停車中にパンタをいったん下げて上げなおすとか、とにかくMGを何とかしなきゃならないのですが、不思議なことにこの車両は数分するとMGが回り始めて車内灯が再び点くんですよ。
しかし昔の車両の予備灯は本当に暗かった。
家庭の照明器具の常夜灯っていうオレンジ色のほのかに明るい程度のものと、昔の電車の予備灯は同等でしたから。
1両に3~4か所設置してあったけど、予備灯なんて本当に役に立たない程度の明るさ。
それが夜走行中に突然車内灯が消えて予備灯だけになるのですから、一斉に突き刺さる乗客の怖い視線はもう・・・
乗務員室の車内灯スイッチ自体の故障も困りものでした。
リレーを動作せるスイッチですからバネが入っていて、操作して指を離すと元の位置に戻るようになっています。
このスイッチが何かの拍子でバネが外れてしまうとか、スイッチ内部の接点で過電流が流れて癒着しちゃったり。
スイッチが固着してしまい一切操作できなくなるのです。
こうなると反対側の乗務員室にいる運転士に言って、車内灯を点けてもらうしかなす術がなくなるんですよね。