運転士と車掌は息が合ったコンビがもっとも仕事しやすい

JRをはじめ一部の鉄道会社では運転士と車掌の行路が別な会社があります。

それに対して私鉄では運転士と車掌は同じ行路で仕事をすることが多い。

なのでその日1日というか明けまでの約24時間は完全にペアになって仕事をします。

ペアなんて言い方で書きましたが、実際には相棒って感じですかね。

この相棒のことを「乗組み(のりくみ)」と呼んでいました。

※ちなみに駅で相棒として働く相手は「相番(あいばん)」と呼んでいました。

 

この乗組ですが、プライベートでも一緒に遊んだりするなどただ仲が良いってだけでは仕事をしていてもしんどかったりします。

一番大事なのは息が合うか合わないか、だと私は今でも思っています。

 

車掌をしていて、例えば列車がやや遅れ気味の時には、駆け込んでくるお客さんを見ないようにしてビシッ!と目の前でドアを閉めたります。

もちろんドアに当たらないタイミングで。

こういう時に運転士によってはゆっくりとブレーキを緩めて、ゆっくりとノッチを入れたりします。

すると車掌としては

「遅れてるからちょっと強引にドアを閉めて遅延回復させようとしているのに、この運転士は一切お構いなしか……」

すると車掌は次の駅からは遅延状況なんてお構いなしに、ゆくっりドアを閉めるようになります。

 

逆に運転士が必死で遅延回復のために最高速度ギリギリで走行しつつ、全制動に近いブレーキで制動距離を詰めて入駅してやっとの思いで20秒ほど取り返したのに、車掌がダラダラとドアを閉めて必死で取り返した時間をあっさり使い果たしたりすると、

「アホらしい……もう無理せずにゆっくり走ろう……」

 

最初の例で車掌がビシッ!とドアを閉めた場合、運転士はその様子を見ていなくても何となく分かるものです。

それまでの駅出発時と違って出発合図のベルを送ってくるタイミングが早くなったとか、普段と違って再開閉を繰り返しているとか、ちょっと普段と違うなって感じるものなのです。

そこで運転士としては

「ちょっと遅れ気味だから頑張ってドアを閉めたんだな、じゃあ素早く出発させてあげなきゃ」

もちろん出発までの確認や手順を端折ったりはしませんが、心持ち早くすることで運転士は分かってくれていると伝わるものです。

実際のところ車掌としては、見切り発車をしたことでお客さんから睨まれたり怒鳴られたりするので、できるだけ早く出発させてほしいと思うもの。

だからこそ車掌の操業に対して息を合わせてあげることが大事なのだと思います。

 

また運転士が頑張って列車を走行させていることは、車掌も当然分かります。

だからこそ運転士の努力を無にしないような仕事を車掌がすれば、運転士だってこの車掌と乗組むと仕事が楽だなと思うようになるのです。

 

休憩時間に車掌が運転士に対して、

「○○駅までノッチは入れ詰めだし、ブレーキは詰めまくるしだから、頑張ってドアを閉めなきゃ殺されると思いましたよ」とか

運転士が車掌に対して、

「いつもよりベル合図が少し早かったように感じたから、これはとっとと出発させないと、もうこんなだるい運転士とは乗組まないと言われそうやったからな」

なんて会話が成立して、仕事の上ではいい感じの相棒になりますからね。

 

私は車掌の時にも運転士になってからも、とにかく乗組みに嫌われないことを第一に考えて仕事をしていました。

こんなことを書くと安全とか乗客のことは考えないのかと言われそうですが、乗組みで息が合った仕事ができているとミスを犯す確率はかなり減ります。

ミスを犯しそうになってもお互いがうまくカバーしあって、大事に至らないことが多いですし。

 

ただワンマン運転どころか自動運転を行おうとしている昨今の状況下では、息の合った乗務員で乗組むなんて

「なに古臭いこと言っているんだ」

と言われそうですけどね。

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