私が勤務していた会社では、乗務区の本区では自動起床装置が設置されていましたが、それは運転士になって以降のこと。
駅勤務や車掌の頃はそういったものは無く、駅では目覚まし時計または電話によるモーニングコール、車掌の頃は本区では“起こし”と呼ばれる乗務員を所定の時間に起こす専門職の方に起こしてもらっていました。
この起こし専門の方が定年を迎えるにあたって、自動起床装置が導入されました。
JRでは本区以外で仮眠となる区外泊の場合は、乗務員自らが自動起床装置のタイマーをセットするのかな?
私がいた会社では、本区の場合は基本的に仕業ごとにどの部屋のどのベッドで眠るのかが指定されていました。
ただし起床時間は人によって身支度にかかる時間が違うことから、仮泊施設の利用者一覧のベッド番号の欄に起床時間を書いておき、当日の出勤を管理する助役がタイマーを設定していました。
各部屋でタイマーを設定するのではなく、自動起床装置の操作盤は乗務区に設置されていたので、乗務員がタイマー設定をすることはありませんでした。
時間になると布団の下に敷かれた風船が空気圧で膨らむことで無理やり起こしてくれるという、非常に寝起きの悪い朝を迎えることができる装置でした。
でも私がいた頃のこの装置はとにかく音がうるさい。
風船を膨らませる前に空気を送り込む機械が作動するのですが、めちゃくちゃうるさい掃除機並の音だったので、風船が膨らむ前の音で目覚めることがほとんどでした。
各ベッドの近くにリセットボタンがあり、そのボタンを押すと爆音送風装置が動作を止めます。
それと同時に、乗務区に設置している操作盤はリセットボタンを押した=起床したことを示すG(青)ランプが点灯し、出勤管理の助役も乗務員が目覚めたことが分かるようになっていました。
ちなみにこのリセットボタンを押さなかったら、セットした時間から5分経過後に操作盤で警報音が鳴ります。
中には爆音送風装置の音や風船がいくら膨らんだり凹んだりしても目を覚まさない猛者もいまして、その時は助役が寝室へ起こしに行っていました。
区外泊の場合は自動起床装置はなく、駅によっては本区からのモーニングコール、目覚まし時計、決まった時間にけたたましいブザーが鳴るなど、泊まる箇所によっていろいろでした。
ブザーですが駅でタイマーをセットして、ブザーが鳴って起きたらリセットボタンを押すという感じでした。
〇番ベッドは○時〇分という風にあらかじめタイマーをセットする時間が決まっていたので、身支度の早い人は乗務前に缶コーヒーを飲む余裕があるし、寝起きが悪く身支度にも時間がかかる人は出発時間ぎりぎりに電車に飛び乗っていました。
いずれも起きてから本区へ電話をして、起床したことと体調について報告しなければいけませんでした。
今ならばタブレット端末などを使ってビデオ通話かな?
私が在職中は音声電話のみでしたが、アルコールチェックが必要になってからは、駅の助役以上の前でアルコールチェックを受けるようになっていました。