私は駅勤務は2年ほどとあまり経験はないのですが、それでも数々の変わった人との接客をしてきました。
これは人というか土地柄に近いのかもしれませんが、ある特定の駅で改札勤務をしているとよくいたのが、乗越し運賃を値切ってくる人。
たいていは競馬や競輪など公営ギャンブルが開催されている駅からの初乗りの切符だけを持って乗車し、下車するときに改札に座っている私の顔をじーっと見ながら
「乗越しや、なんぼや?」
ときっぷを放り投げるように手渡してきて、乗越しの運賃を聞いてきます。
「○○駅からですので、180円いただきます」
すると決まって
「兄ちゃん、悪いけど今日は負けてすってんてんやからちょっとマケてくれ」
と乗越し精算の料金を値切ってくるのです。
「おまけすることはできません」
私にすればこれ以外の返答のしようがありません。
「なんでやねん!今日はたまたま負けたからあまり金がないだけやろ。今度まとめて払うから今日はマケてくれ」
私も家電品を購入するときとか、あと自動車を購入するときなどは値切りますよ。
でも電車賃を値切るという発想が今でも私にはありません。
「できません」
こう答えるといつも決まって1万円札を出してくるのです。
おそらく値切ってもらえなかった腹いせに、少額の支払いに高額紙幣を出して嫌がらせのつもりなのだろうと思います。
またいつもと同じだな
そう思いながら私も逆に嫌がらせをするように、お釣りの紙幣を本当にゆっくり数えるのです。
「千円、二千円、三千円・・・」
たまにお釣りをもう一度数えなおしたりして、さらに嫌がらせをしたりもしましたよ。
すると千円札を9枚渡したところで舌打ちしながら帰ろうとするので
「まだお釣りの小銭がありますよ」
ここからまたゆっくりと小銭を渡して
「ありがとうございました」
と笑顔で言うと、相手はたいていものすごい剣幕で立ち去ります。
ある同じ駅での話ですが、同じ人じゃないところが笑えるのですよ。
ちなみに本当にお金がない人はマケてくれなんて言いません。
10円硬貨を7~8枚押し付けるように渡してきて、走って逃げていきます。
ちなみにこの駅ですが、私だけではなく他の駅員の間でも治安が良いとは言えない駅だったのですが、今この駅名と治安と入れて検索すると住みやすいとか、女性でも安心して住めるなんて書いてあって正直目が点になっています。
40年近く経過して治安が良くなったのかな??
ただ何があっても運賃のおまけをしないということではありません。
小さな子供がきっぷを失くしたと泣きながらやってきた時とか、乗越し用のお金を落としてしまって足りないとべそをかいている時などは、今日はもういいよと言って改札を出していました。
ただ言っておきますが、ギャンブル帰りの難儀な人がすぐ乗越し清算を値切ってくる駅では不思議とこういう子どもって現れないのですよ。
今では交通系ICカード(SuicaやICOCAなど)でピッと自動改札をタッチして出場していく人がほとんどだから、わざわざ乗越し精算する頻度も激減しているとは思いますが。