ネットニュースで今朝知ったのですが、昨日1月31日東京駅を出発する「はやぶさ25号」で、車いす乗降用のスロープ板を付けたまま発車し7~8m進んだところ、ホームにいた女性の清掃員が足でスロープ板を踏み付けるようにして外し、手で車両から引き離した。
その女性清掃員が出発監視中の車掌に何やら話しかけたように見えましたが、車掌は列車を止めることなく走り去った。
その様子を撮影したツイッター
これそのまま引きずって走れば、ホーム上の他の旅客に接触して負傷する危険性が相当高く、この女性の行動はファインプレーかもしれない。
しかし下手すればこの女性清掃員は足元をすくわれて負傷することも大いに考えられるため、本来はホーム上の非常停止ボタンを押して新幹線を止めるのがベストでしょうね。
そうなるとかなりの遅延が見込まれるのですが、このケースではそれもやむを得ないのではないのかな。
車いすの介助をしていた係員が車内(ドアの付近)に立っているような姿が見られるので、車内へ車いすの方を乗車せている間にドアが閉まって発車したようですね。
この係員は車掌に車いすの方を乗車させる旨を通告していなかったのでしょうか。
JRはよくマイクを使って車いすの方を乗降させることを車掌に伝えていましたが、マイクを使った伝達方法によって女性の方が迷惑を被る事案もありましたし、どうなっているのかなと。
そして車掌ですが、車いすのスロープ板を設置するところから見ていれば、外されていないことにも気づくでしょうが、設置するところを見ていなければスロープ板に気付かずにドアを閉めることは十分あり得ます。
「駅には車掌がホームの状況を確認するためのモニターが備えられており、確認もできたはずだ」とYahoo!ニュースのコメント欄に書かれているフリーライターの方がいますが、スロープ板が設置されていた個所から車掌までは50mもないほどの距離ですから、よほどの曲線ホームで直視では監視できないのでなければモニターでの監視範囲ではないと思われます。
約50m先の薄い車いす用スロープ板を目視で発見することは困難だし、モニターとなればさらにスロープ板の存在は確認できないですよ。
そもそも乗降監視用のカメラはそんな低い場所ではなく、ドアの中央部が最も映るように設置されますから、板だけを確認するなんてまず無理です。
ただし清掃員があれだけ車両に接近していることから、何か異常があったのではと考えて列車を止めるという行動に移せなかったのは問題ありかもしれません。
運転士になってから車掌業務をしていて、優等列車待避の間に車いすを乗せていた助役がいました。
私はその場面を見ておらず、信号が変わって出発時間になったからドアを閉めたところ、運転士から連続ベルを鳴らされ慌ててドアを開けると、車内からその助役が慌てて飛び出てきたということがあります。
また同じ駅で別の助役が同じような場面で車いすを車内に入れたところで、同じように車掌がドアを閉めた。
今度はスロープ板を設置したままの状態だったのでドアで挟まれたために、運転士をしていた私がベルを鳴らしてドアを再開扉させたこともあります。
乗降監視用カメラ・モニターが設置されている駅ですが、足元付近なんてそんなにきれいには映し出されておらず、スロープ板が設置されていることは確認不可でしたよ。
新幹線で使用している車いす用スロープ板が良い物なのかもしれませんが、板を設置した状態ではドアが閉まらないモノにする方が安全面からも良いかもしれないですね。
これならば今回のケースでもスロープ板が引きずられていることはなかったわけですから。
というよりも、発車間際に車いすの介助が必要だったことも問題なのですけどね。
時間に余裕があれば介助をした係員も降りられたわけだし、スロープ板も外せたわけです。
誰が悪いと一概に決めつけられない事案だけに、厄介な問題だなと思います。