昨日(2023/02/16)東海道新幹線で走行中の「のぞみ22号」で空気バネの異常を示すランプが点灯したために、小田原~新横浜間で停車。
乗務員による点検が行われたが運転を打ち切ることになり、小田原まで退行運転を行ったようです。
※退行運転とは列車標識(前照灯や尾灯)を変えずに今走行してきた線路を逆に走行すること。
原因は今のところ発表されていませんので分かりませんが、空気バネに所定の圧縮空気が入らない状態になったのかな。
機器の故障もあれば空気バネ自体がパンクすることも考えられますが、退行運転時にも何やら音がしたとか。
新幹線の台車はボルスタレス台車ですから、空気バネに所定の圧縮空気が入っておらなければ、台車はほぼ動かなくなるので走行はできないでしょうね。
ボルスタは枕梁(まくらばり)とも呼ばれ、車体と台車の間に位置するパーツですがとにかく重たい。
軽量化のためにボルスタを排除して車体と台車を空気バネで繋ぐ構造としたのがボルスタレス台車ですから(超絶端折って書いています、最近はすぐにTwitterなどで明確なうそをしたり顔で書いてはいけませんなんて書かれますからね(笑))、今回の新幹線のように空気バネに異常をきたせばまともには走れないし、車体と台車が直接接触することで異音や振動が発生することも十分考えられます。
原因はまだ発表されていませんから、あくまで憶測ですが。
私が運転士時代にもボルスタレス台車を履いた車両がありましたが、私は本当に嫌いでした。
直線で惰行運転(ノッチを入れずに転がしている)しているだけなのに、妙な前後左右に揺れるようなカクカクとした振動が嫌でね。
あくまで私個人の体感ですが、緩いカーブなのにまるで車輪がレールから浮いているような、外に持っていかれるような妙な揺れを伴う走りっぷりがちょっとね。
ブレーキをかけた時もカクカクを超えてガクガクする感じに揺れて、マジで止めにくかったし。
他社ではふつうにボルスタレス台車を履いた車両がたくさん走っていますし、客室では変な振動を感じることもない。
ひょっとすると私がいた会社の車両の車体と相性が悪かったのかなとも思いますが。
私がいた会社で今ボルスタレス台車を履いた車両が走っているのかは知りませんが、試験導入時の結果はあまり良くはなかったような気がします。
ある会社の話ですが、工場での検査時に車体と台車を離すためには、メーカーの技術者に来てもらわなければどうしようもできなかった、なんて話も伝わってきました。
事故や故障のために急遽技術者に来てもらわなければいけない時にはどうするんだ、そもそも検査ならば事前に日時が分かるからメーカーの技術者の手配もしやすいけど、だからと言って今後ボルスタレス台車を履いた車両が増加した時、いつもいつも技術者を呼ぶわけにもいかないし、検査の効率から言ってもよくはない。
みたいな車両部サイドからのNGを食らってボルスタレス台車の本格導入を断念した会社もありましたからね。
※その会社が今もボルスタレス台車を嫌っているのかは分かりませんが
本当に良いイメージがないボルスタレス台車ですが、今は新幹線でもごく普通に採用されているわけですから、性能もよくはなっているのでしょうね。
でも空気バネがへたればさすがにまともに走行はできない、それが欠点なわけですが。