眠気に襲われやすい時間帯
ヤフーニュースに載っていたタイトルの件。
篠栗線の上り快速列車が通過駅の筑前山手に停車してしまい、お客さんが2名降りてしまったとのこと。
おそらくワンマン運転の快速列車だったのだろうと思いますが、眠気に負けて自然とブレーキ操作をしてしまい停車。
そして一連の流れでドアも開けてしまったのかな。
時間が午前11時ごろだったそうですから、泊まり勤務の明けだったのかな、この時間帯だと日勤勤務の可能性もあるけど。
一般の人からすれば、
「前日にきちんと睡眠をとって仕事に備えるのがプロとして当たり前の行為だろ!」
なんて思われる方もいるようで、私がいた会社ではこのようなクレームがよく寄せられていました。
基本的には泊まり勤務だけど、泊まり勤務の勤務時間は三交代のように勤務時間が3パターンという職種ではなく、分単位で勤務時間が設定してあり、おおむね24時間の拘束ですがシフトによって拘束時間の長短が発生します。
そして仮眠時間は表面上は6時間は確保としていた私がいた乗務区ですが、実際には4時間も眠れたら良い方です。
日勤勤務だって朝9時出勤のようなシフトは私がいた乗務区にはなく、車掌になった当時はもっとも早い出勤時間は朝3時台で、もっとも遅い出勤時間は18時台でした。
こんな勤務シフトでしたから、午前11時ごろに眠気に襲われるって本当によく分かるんですよ。
ラッシュの時間帯が終わって気持ちが少しホッとする時間帯でもありますから。
ワンマン運転に伴うリスク
JR九州は株式上場に伴い、列車の短編成化運転本数の削減、ワンマン運転や駅無人化を特に推進しているように感じます。
比較的利用者多い区間でも編成を短くしてはワンマン化に舵を切っていますが、たしかに車掌をなくせばその分の人件費は浮いてきます。
ただし車掌が行ってきた仕事を運転士が担当するようになることで、当然ですが運転士の負担は増加します。
目に見える負担増だけではなく今回の誤停車の場合、車掌が乗務しておればブザーで合図を送ったりインターホンで知らせるなどすれば、ドア扱いは行わずに間違って下車する人もいなかった。
つまりは二人乗務によるフォローも受けられなくなったのです。
私が車掌のころ、頻繁に通過駅に停車させようとする運転士がいて、それも同じ公休で同じシフトの回りだったから1週間乗組みが続くのですが、一週間一緒に乗務を続けていたら2~3回は通過駅に止めようとしちゃうのです。
ブレーキのかけ方が信号や速度制限に対するものとは違い、あきらかに停車させようとしていると分かるものだから、出発合図である二点ベル(チンチン)を鳴らします。
するとブレーキを緩めてあわててノッチを入れて加速していく、ということの繰り返しでした。
その運転士はワンマン運転が導入されるかもしれないという噂が乗務区内に広がった時に、自主的に駅勤務をしたいと申し出て乗務職場を去っていきましたが、運転士みんながそんなことできるわけがない。
今は駅もどんどん無人化など走力化に懸命になっていますから、今ならば駅勤務ではなく関連会社への出向になるのかな。
ワンマン運転を実施することでほかにもリスクはあると思います。
何かの対応を行う際にも、一人よりは二人の方が対処しやすい。
例えば会社も泥酔者の対応は必ず複数で対応することと言ってはいますが、その逆にワンマン運転を拡大していますしね。
「バスなんてワンマン運転が当然のように行われているのに」
なんて言われたら言い返せませんが……
誤停車に対するバックアップ装置はない?
停車駅を間違って通過しそうになったり、停車するつもりでブレーキをかけているものの制動距離が足りない、こういったことに対してはバックアップ装置が備えられている会社・路線・駅があります。
停車位置までのブレーキパターンに沿わない場合には自動的にブレーキが動作することで(大雑把に書いたけど、また詳しい人から文句を言われるかもしれませんが……)誤通過や停止位置誤りを防ごうというものです。
それに対して通過駅に間違って停車させようとした場合のバックアップ装置ってないと思うのです。
通過駅なのにブレーキをかけたからと言って、無理やり緩解させることなんてできないし。
まさか人と接触するかもしれないとブレーキをかけたのに、勝手にブレーキを緩解させる装置なんてありえないし。
良くて音声などによって通過駅であることを知らせる程度でしょうね。
昔は運転士が間違って停車させても、車掌がしっかりしておれば扉を開けることもなく、何事もなかったかのように出発していけばそれで問題はなかった。
車掌がバックアップとなっていたわけです。
※車掌の中には駅に止まればとりあえずドアを開けるような人もいたけど……
勘違いしている運転士が誤停車すれば、その流れでドアを開けてしまいまいますから。