乗務員室に添乗する監督職(助役など)
乗務員室の後ろにかぶりついて前方の景色を楽しんだり、運転士のブレーキ操作をじっくり観察したり。
中には前面展望としてその景色を動画として残している方もいます。
そういう時に添乗者が乗務員室に入ってくると、イヤな気分になりますよね。
年齢が上になるほど舌打ちしてきたり、ガラスを叩いてきてのけ!と手を振ってアピールしてくる人もいます。
実際助役として添乗する機会も多かったのですが、子供の場合はできるだけ邪魔しないようにと少しずれて立つこともありましたが、中学生くらいの年齢以降の場合は無視して立っていました。
別にこちらは遊んでいるのではなく、仕事として添乗しているわけですからね。
子供の場合でも添乗時の目的によっては残念ながら避けることが難しいこともあります。
指導目的で添乗することもあれば、どこかへ移動する際に添乗することもあります。
運転指令や駅長所在駅へ書類を届けるとか、ラッシュ時の立哨作業のために作業を行う駅へ移動する時などですね。
基本的に助役以上の監督職はできるだけ運転台に添乗することが求められていた会社でしたから、それこそ一駅だけの移動でも添乗しろと言われていました。
乗務員室に添乗して監督職は何をしている?
適宜指導監督を行うのも監督職の仕事の一つですから、会社としての方針や乗務区の方針を添乗して車掌や運転士に対して伝えたり、操業状態を確認してちょっとまずいと思うところは注意もします。
頭ごなしに注意をすれば〝怒られた〟と感じるものですから、そこは雑談を交えながら冗談交じりで注意をすることが私の場合は多かったです。
たまに乗務区内の上司から直々に
「運転士の○○が方針に従わずに仕事をしていると報告書が上がってきているから、今日添乗して指導してこい」
と命令されることも少なくはありません。
本当にイヤな仕事ですよ。
特に問題がなくとも全乗務員に対して月1回以上の添乗を行う方針だったため、それこそ月末近くになってまだ誰も添乗されていない乗務員を上司が探し、乗務員の仕業みたいに助役が添乗する仕業表を作るインケツな上司もいました。
たとえ一駅でも添乗したら必ず報告書を作ることになっており、運転士または車掌の氏名と、日付、列車番号、添乗区間、問題の有無などを書いて上司に出すのです。
私は必ず操業状態に異常は見られませんと書いて出していたので、
「お前は添乗しても絶対に改善しなければいけない部分を見つけてこないな」
なんて嫌味を言われることが多かったのですが、上司にゴマをすって出世したいのか
「髪の毛が長すぎる」
「スニーカーソックスなので短すぎる」
「靴下の色が派手だった」
そんなくだらないことを書く気はありませんでしたからね。
もちろん添乗すれば線路状態の異常の有無は当然見ています。
ただ運転士と同じで全体を見て運転に支障があるのかないのかを見ていますので、そのあたりは工務系の専門の係の方とは違った見方になるのですが。
どの乗務員だろうと関係なく添乗していましたが
どうしても苦手な乗務員も当然存在します。
私が運転士時代に口論となって以降、一切口をきかなくなった運転士もいます。
私は性格が曲がりくねっているので、そういった苦手な乗務員も関係なく添乗していました。
中には本来運転台添乗が原則となっている場合でも、出勤簿で運転士を確認してイヤだったら一本前の電車に添乗するなんて監督職いました。
私の場合は関係なく添乗するわけですが、私が下車する駅まで喚呼の声以外は一切ない沈黙の乗務員室となることもありました。
逆に苦手な人の担当列車に添乗していると
「オレなんて添乗せずに○○の電車に乗ってこいよ、あいつ相当危ない運転しているって聞くぞ」
なんて具合に、できるだけ早く下車しろと言わんばかりに、監督職などが把握していない実態を入手出来ることもあって、それはそれでまあ助役の仕事としては正解かなとは思ったり。
ただ私には助役など監督職や管理職の仕事は向いてなかったですね。
上司に指導してこいと言われてもどう考えても乗務員側には何も非がなく、会社・乗務区側の言い分の方がおかしいと思うことも多々ありそんな時は添乗した時に
「○○(上司の名前)がお前の仕事について○○がダメだから注意してこいと言われたけど、オレは何も悪くはないと思うからその事実だけ伝えておくわ」
私の仕事ぶりが気に入らない上司も多く、そのために6か月で飛ばされた私でした。