そもそも大宮駅も停電区間に入っていたのだが
1月23日に発生した東北・上越・北陸新幹線の架線トラブルによる長時間の運休。
午前10時ごろに発生して終日運休となったのですから、利用者から文句が出るのは当然かもしれません。
ただ報道を見ていると、何も調べず適当なことを並べ立てているだけのものも少なくはなかったようです。
ちなみに私はテレビは見ませんので(というか、我が家にテレビはない)新聞社やテレビのweb記事やネットニュースと、Xに投稿されたポストから拾っているだけですので、実際の言葉のニュアンスについては受け取り方の違いがあると思います。
なぜ大宮駅で折り返し運転をしなかったのかという話ですが、架線が垂れ下がっていた箇所を含む区間を停電させると大宮駅も含まれるから、というのが正解だったようです。
同じ変電所の電力供給区間内だったからですが、
かつて東北・上越新幹線は、大宮始発だったため、大宮駅には新幹線ホームが6つある。事前に緊急時用の運行管理システムを構築していれば、かなりの列車は大宮で折り返し可能だ、と指摘する専門家もいる。 産経新聞より
産経新聞にはこのように書かれていたのですが、その専門家は誰なんだ?
羽鳥慎一モーニングショーに出ていた方は
2001年に上野~大宮間の変電所で避雷器が故障したのを受け、大宮駅以北で折り返し運転する方針を決め、マニュアルも作った。20年以上前に。でも今回、それができなかった
やろうと思っても、その日すぐできるものではない。何より大変なのは、運行管理システムにデータがあり全部制御しているが、それを全部、直さないといけない。その日になって1本1本手入力では追いつかず、あらかじめデータを事前につくり、大宮折り返しになったら入れ替える。事前に作っておいて初めてできる話だが、残念ながらできていない。昨日の事情からするとそういうこと 日刊スポーツより
といったことを言ったとか。
今では大半の鉄道社局は運行管理システムによって管理されていますが、トラブルがあれば指令員が怒鳴り合いながら手動で入力していますよ、その都度。
怒鳴り合いながらは私がいた会社だけかもしれませんし、システム自体の相違があるので、ダイヤが大幅に乱れた時に新幹線がどのような方法で指令員が作業しているのかは知りませんが、折り返し駅の変更や待避駅の変更の時なんて本当に喧嘩口調で管理していましたよ。
新幹線はあらかじめ大宮折り返しのデータを作っているのかどうかは知りません、でも私がいた会社ではそんなデータをわざわざ作ってはいなかったです。
もしも作っていても大宮駅構内も停電区間に含まれているので、どうしようもなかったのですけどね。
作業員の感電事故の方が軽く扱われているような
この事故の復旧作業に当たっていた作業員の方が感電してしまい、重傷を負う事故が起きました。
二次災害ですね。
この事故が起きた時点でまだ切れた架線が放置された状態で通電したとなると、それはさすがにミスじゃないのかなと素人考えで思うのですが。
現場のリーダーは通電していることを伝えていたということですが、25000Vの高圧ですから通電している架線のそばに近付くだけで感電しますし、通電させた電力指令側と現場との意思疎通がうまく図れていなかったのかな。
架線のトラブルによる事故ですから、仮復旧後に安全を確認してから通電するのが基本だと思いますが、現場での安全確認がなされない状態での通電は、作業員ではなくJR東の大きなミスだと思います。
でもこの辺りのことは本当に報道されませんね。
作業の安全が確保されないというのは致命的ミスなのに、くだらない粗探しの前にこういったミスについてきちんと調べて報道するのがマスコミの仕事ではないの?
結局は経費圧縮の影響?
今回の架線切断の直接の原因は「重錘ロッド」の破断によって架線が垂れ下がり、そこに新幹線車両が突っ込んだことで架線を切断し、車両のパンタグラフが破損したことです。
重錘(じゅうすい)ロッドは架線を適切にピンと張った状態に保つための錘を支えるもので、赤丸の部分にあります。
そして右の写真が今回破断した重錘ロッドです。
この重錘ロッドの破断によるトラブルは2005年11月7日に山手線の有楽町~東京間でも起きており、この時は架線が垂れ下がっているのを発見後、約5時間で復旧させています。
この重錘ロッドの破断というトラブルは、私はあまり聞いたことがないのですが他社でもあるのでしょうか。
今回の新幹線の重錘ロッドの破断は、おそらく経年劣化が原因になるのでしょうね。
東北新幹線が開通した1985年ごろに設置されたもので、38年間使用されています。
交換の時期自体は明確に決まっていませんが、JR東日本では30年を目安にしているとのこと。
破断した区間は時速130キロと新幹線にしては低速で走行する区間だったこと、新しいタイプで高強度の「高速シンプル架線」の導入を決めていたことから、交換されずに使用されていたようです。
JR東日本に限らずどこの社局も経費の圧縮に懸命で、これまでは30年で交換していたけれども状況を見て問題が無さそうならばもう少し延命させよう、というのはよくあるこではあります。
でも輸送の安全を脅かす可能性のある部品の交換って壊れてからでは遅いし、前もって交換す予防整備の考えもやっぱり必要だと思います。
このあたりは、車検さえ通ればよいからと格安で車検を通すお店に愛車を預けるか、高くても良いからきちんと整備して部品を交換してくれるディーラーで愛車の車検を通すのかと、考え方は同じです。
ただし料金を取って輸送を担う交通機関ですから、取りあえず走らせることができれば良いとの考えはどうかと思います。
私がいた会社でもあったんですよ、木の枕木が腐っていて列車が通過するたびに犬釘が浮いている!って乗務員が言っても、もうすぐ交換予定の個所だからと放置していたことが……
なのでこういった部分をもっときちんと報道するのもマスコミの仕事ではないのと、痛切に感じます。
しかし、鉄道の専門家とか鉄道のアナリストってなに?
鉄道社局で働いていたと言っても結局は机上で仕事をしていた頭の良い人とか、好きな鉄道に乗ったり触れた経験値と鉄道雑誌に携わっていた範囲でものを言ったり、大学で交通工学なんてのを習った専門家とかばかりでしょ?
現場で汗水たらして働いていた人ではないでしょう?
机上での計算や新しい案を作るのには長けていても、実際の現場を知らない人が何を言っているんだろうとしか思えない。
マスコミに登場する人って鉄道に限らずあらゆる分野でこういう人たちか、現場で2~3年だけかじりましたって人ばかり。
外から見る景色と中から見る景色って驚くほど違うということに、おそらく気付かずすべてを知っているつもりで話しをされるのでしょうね。
※私も他社のことは知りません
たまに「そんなはずはない」なんて文句を言う人もいますが、私は自分がいた会社の中しか見えないし、文句を言う人も自身が勤務している会社しか見えていないということを自覚してくださいね。