たまにアクセス数が跳ね上がる日があるのですが、今回は駅の緊急停止ボタンや車内の非常通報装置についてへのアクセスだったようですね。
駅の緊急停止ボタンや踏切の非常停止ボタンは、ともに列車を緊急に停車させる必要があるときに使用します。
これらの装置のボタンを押下させると特殊信号発光機が動作して、それを確認した運転士は非常ブレーキを投入して緊急停車させます。
中にはこれらの装置とATSを連動させ、ボタンを押下すると信号機がR(赤)になった状態を作り出しATSブレーキを動作させて停車せるケースもあります。
※この場合でも運転士は非常制動を投入しなければなりません。
駅の緊急停止ボタンや踏切の非常停止ボタンは人命にかかわる事態が発生しそうなときに動作させるものです。
ホームから線路内へスマホを落としたとか、ホーム上で嘔吐したなど緊急ではない事態の時に緊急停止ボタンを押すことはやめてください。
週刊誌をホームから落としたからといって緊急停止ボタンを押下する人もいるのですが、それのどこが緊急だと思うのか、私には理解できません。
本題の車内の非常通報装置ですが、ボタンを押下した車両の側面のオレンジ色のランプが点灯します。
※ドアが開いていることを示す赤いランプと同じくらいの大きさです
駅に停車した場合、駅係員が非常通報装置のボタンを押された車両を見つけやすくするためのランプになります。
またボタンを押下した車両内ではブザー音も鳴り響きます。
これは乗務員が乗務員室から急行した場合にどの車両なのかが確認しやすいために鳴動させています。
最近の車両は非常通報装置のボタンを押下することで乗務員と通話できるタイプが多くなっています。
非常通報装置のボタンを押下すると乗務員室内ではブザーまたはベルが鳴動します。
ブザーまたはベルは合図に分類されていて、連続で鳴動する合図の場合は“停止せよ”という合図になります。
この合図を受けて運転士は列車を停車させます。
非常制動ではなく常用制動なのですが、若干止まるまでの距離が長くなる程度です。
※80㎞/hからの非常制動は約250m、常用制動は約320m
ただし橋梁上、隧道内(トンネル内)などは避けて止めることになっています。
会社によっては駅が近い場合には駅まで走行することもあるようです。
私が勤務していた会社では乗務区ごとに扱いが違っていて、私が所属していた乗務区では駅が近くてもすぐに停止、別の乗務区では駅が近ければ駅に停車させるという扱いでした。
暴力など犯罪行為や迷惑行為を見かけたり遭われたりすれば躊躇なく非常通報装置のボタンを押してください。
痴漢は迷惑行為でもあり犯罪行為でもありますので非常通報装置のボタンを押すのは当然のことだと思います。
鉄道係員職制という国の定めた省令があり、その十一条には
第十一条 車掌は、車掌区長の命を受け、列車の運転取扱い、旅客及び荷物の輸送並びに車内の秩序保持の業務に従事する。
痴漢行為という車内秩序を乱す人がいて、そのことを車掌に通報するために非常通報装置のボタンを押す。
省令に則っても間違ってはいませんから。
“電車が予定通りに到着しないから押すな!”
“電車が遅れるから押すな!”
という意見も分からなくはありませんが、その文句は犯罪行為である痴漢を行った人に言ってください。
それと痴漢行為を目撃して非常通報装置のボタンを押しても、列車遅延に対する賠償を鉄道会社から請求されることはありません。