19日早朝に京王永山駅近くの変電所で火災が起き、京王線や小田急多摩線で運転を見合わせる事態になったそうです。
変電所って分かります?
電力会社から供給される交流の電気を鉄道で使用する電圧に下げて、さらに運転用には直流に変換する場所です。
電力会社から供給される電気の電圧は66000Vという超高圧で(設備によってはもっと高い電圧で供給を受ける変電所も)、信号用には交流6600V、運転用には直流1500Vに変換して使用しています。
ちなみに街中でふつうに見られる電柱につながる電線にも交流6600Vが流れていて、電柱に取り付けられた変圧器で200Vとか100Vに変換されて各家庭に入ってきます。
その変電所で火災が発生すれば、変電所の機能を停止させます。
すると信号や運転に必要な電気が確保されないために運転を休止せざるを得なくなるのです。
変電所は各鉄道会社に一つというわけではなく、ある程度距離が長くなれば複数設置します。
Aという変電所は〇〇~▼▼まで、Bという変電所は▼▼~□□までという具合に、一つの変電所が受け持つ区間を分けています。
そうしないと1か所の変電所でトラブルが起こるたびに全線で運転できなくなりますから。
今回の京王線の件でなぜここまで広範囲で運転を取りやめたのかは分かりませんが、区間運転が難しいなどの理由があったのかな?
変電所など電気関係の設備の状態を監視するのが電力指令で、私が勤めていた会社では運転指令所内に設けられていました。
電力指令の操作パネルなどは見たことがありますが、どのような操作をしているのかなどは実際に見たことがありません。
変電所の異常の有無や電車線(電車に電力を供給する架線)や信号線の停電の有無、また異常時に停電させるのも電力指令の権限だったと思います。
電力指令の指令員は電気課など他の部課の係員の範疇ですし、あまり気やすく話しかけられる雰囲気じゃなかったんですよね。
私は30年以上車掌や運転士をしてきましたが、変電所の火災というのは遭遇したことがないんですよ。
変電所に雷が落ちて2~3時間運転を見合わせたことはあるのですが。
そういえば停電が復旧したときの取り扱いで面白い決まりがありました。
停電が復旧したときは上り列車はすぐに運転再開し、下り列車は1分待ってから運転を再開することになっていました。
すべての列車が一斉に起動を始めると、変電所がパンクして自動的に送電がストップして再び停電するという理由からです。
理にかなっているかもしれないけど、こんな決まりをわざわざを設けている会社って多いのかな?