携帯電話なんてほとんど見かけない
私が駅勤務だった昭和50年代の中ごろ
まだ世間では携帯電話を持っている人なんてごく少数でした。
1985年にNTTがショルダーホンを出していますが
実物を見たのは乗務員になったころ、なぜだか乗務区に1台あったのを見ただけ。
平野ノラがシモシモってやってるショルダーホンを見た回数のほうがはるかに多いくらいですから。
外では公衆電話が当たり前だった
こんな感じでしたから、外で電話を掛けるとなると公衆電話です。
1982年にテレホンカードが発売されて、普及したのはその数年後だったと思います。
なので私が駅勤務の頃は、まだ周囲の公衆電話はすべて10円玉と100円玉を入れて使うタイプばかり。
テレカが使える公衆電話は大きな駅から徐々に広まっていきました。
今もそうですが、公衆電話は駅に行けば1台は設置しているようなので
公衆電話が見当たらなければ人は駅にやってきます。
そして財布を覗くとお札しか無かったり、硬貨は50円と1円5円だけ。
だからよく改札に座っていると、10円硬貨に両替してほしいとやってくる人も多かったですよ。
鉄道電話と加入電話
でも中には財布を忘れたからなのか知りませんが、改札口の電話を貸してほしいとやってくる人もいました。
私が子供のころは自宅に電話が無い家庭も意外と多く、家に電話を貸してほしいとやってくる隣近所の人もいましたよ。
でもまさか駅にいて、これほど電話を貸してほしいとやってくる人が多いとは思いもしませんでした。
ただ残念なことに、社内電話(鉄道電話)は一般の加入電話(NTT)とは接続されていません。
あくまで鉄道の現場間で使用する電話です。
0発信といって、最初に0をダイヤルすると加入電話に接続されるといった機能もありません。
電話を貸してほしいといってやってくる人のほとんどは、0発信ができるものだと思っていたようで
最初のうちは
「社内専用でNTT(当時は電電公社)にはつながりません」
と言っていたのですが、面倒になってからはどうぞと貸してあげていました。
ダイヤルしたあと必ず困惑した顔を見せていましたけどね。
もう今ならば電話を貸してくださいなんて、駅でいわれることはないでしょうね。
何せ車内で着信音を聞かない日はないほどなのですから。