駅では問題なし
以前にも書きましたが、乗務員をしていて怖いのが急に襲ってくる腹痛です。
駅勤務の場合はすぐにトイレに駆け込めるという安ど感からか、意外と腹痛に襲われることは少なかったです。
もしも1人勤務の駅で仕事をしていて腹痛に襲われても、最悪の場合は窓口を閉めちゃってトイレへ行けばいいだけです。
私が駅勤務の頃は2人以上いましたから
「ごめん、トイレに行ってくる」
と言えば何も問題ありませんでしたしね。
車掌もきついとは思うけど
車掌をしていてももちろん腹痛に襲われることがあります。
お腹を押さえて乗務員室の中で右往左往したり、客室側を向かずに後方を向いて悲壮な顔をすることもありました。
脂汗がにじみ出てくるほど我慢しだすころには、少しでも動けばまずい・・・という状況にまで追い込まれたこともあります。
でも車掌は立っているために何とかお腹とお尻に力を入れて我慢しやすいのです。
私が乗務していた路線ではできませんでしたが、JRに乗車中に車掌さんがトイレへ入るシーンを何度か目撃したことがあり
「電車にトイレがあるって・・・うらやましい」
と思いながら見ていたことがありました。
運転士の最大の敵は腹痛?
運転士をしていて腹痛に襲われるとどうしようもありません。
まず運転席から離れることができません。
その場で立って運転はできますが、お腹を押さえながら前かがみになるといったことができません。
脂汗がにじみ出し、そのうち痙攣に似た震えに襲われます。
でももしお腹の力を少しでも緩めれば、そこで今まで我慢し耐え抜いてきたことが水の泡となって消えていきます。
特にあと5分ほどで終点に着くという状況は、本当に魔の5分といってもいい状況です。
とにかく車掌に対してお祈りします。
“時間ピッタリにドアを閉めてくれ!”
こういう時に限って駆け込み乗車があって再開扉されたりするのですが、心の中では
“頼むから再開扉はやめてくれ・・・”
お腹がピクピクしだして、本当に腸の中が切れてるんじゃないかと思うほど強い傷みに襲われだします。
もうこういう時は真冬でも汗がダラダラと流れ出します。
終点の場内信号機を超えてから停止目標までって、普段なら本当に短い時間にしか思わないのですが、腹痛を我慢しながら停止目標に向かう時は本当に遠くに感じます。
ATSによって速度超過はできなくなってはいるのですが、この時ばかりは少しでも速度を上げたい衝動に駆られてしまいます。
たったの5分が異様に長く感じられるのですよ。
一転して爽やかに感じるけど
停止目標に止めた後にドアの切り替えなどの作業があって、ハンドルやマスコンキーを抜くなど一連の作業があるのですが、ドアの切り替えだけを行って駅事務室のトイレへ駈け込んでいきます。
ブレーキハンドルやマスコンキーそれに乗務用のカバンやスタフなどは放置したままですが、この時ばかりはトイレに向かって一目散。
でも人間ってトイレに行けると思った瞬間に、それまで必死に我慢してきたことがウソのように我慢できなくなっちゃいます。
すぐにでも出るぞ!って感じになっちゃいますからね。
それまでは脂汗が流れて体中が暑かったのに、なんとかトイレに間に合ってスッキリした後にはものすごく涼しく感じられます。
この状態でエンド交換して運転を再開すると、ものすごく疲労感に包まれていることに気付きます。
全身に力が入っていたものが一気に脱力感に見舞われて、ほんの少しの風がすごくさわやかに感じられるのです。
運転士を長年してきて、こういった状況に襲われたのは3~4回ほど。
この時ばかりは電車の運転士なんてするものじゃないって思っちゃいますし、この経験がイヤで異動願を出し事務方へ行く人も多いですからね。