私が駅で勤務していて本当に困ったことの一つに、女性のお客さんからの迷惑行為の申告についてがありました。
いわゆる痴漢に関してならば助役以上の上位職に報告するとともに、駅長所在駅から警察へ通報して警察官に事後は委ねます。
怪しい奴は今も昔もとにかく逃げようとします。
最近は線路内に降りて逃げようとするから、列車の運行にも支障をきたすなど大ごとになりますが、昔はさすがにそんな人はいなかったような。
とにかく必死で駅構内から改札を抜けて外へ逃げ出そうとします。
そして捕まったとたんに
「会社には言わないでくれ!」
って泣き崩れるのがパターンでした。
ふつうの痴漢に関しては手を煩わせるだけで特に困ったりはしなかったのですが・・・
駅長所在駅で内勤勤務をしていた朝ラッシュの時間でした。
鬼の形相で事務室へ入ってきた女性。
それも男性と罵りあいながら駅事務室へやってきたから難儀しましたよ。
「この人、ちかんです!」
「何を訳が分からんことを朝から言うてるねん!」
こんな感じです。
私も事務室にいた助役や首席助役たちも“ちかん”だと最初は思ったのですが、よくよく話を聞いていると
“視漢(しかん)”と言っているようなのです。
ラッシュの満員の電車で座っていた女性の顔を、真ん前に吊皮を持ちながら立っていた男性がじーっと見てくる。
横を向いたり下のほうを向いても、しつこく視線を送ってくるというのです。
知らない人に顔をじーっと見られたらたしかに気持ち悪い。
できたら違う場所へ移りたくなるものです。
でもラッシュの満員電車ではそう簡単に移動なんてできません。
この女性にしたらあまりにもしつこくて気持ち悪いことに我慢ができず、その男性を引き連れて下車したようなのです。
でも男性の言い分ですが、新聞を小さく折って読んでいたものの特に大した記事もなく、下車する駅までヒマだから外を眺めていたというのです。
風景を見ていてたまたま視線があったりはしたが、すぐにこちらから逸らしていたといいます。
男性は毎日同じ電車で通勤しているが、女性は痴漢の被害にあうたびに電車を変えていて、今日乗車した列車は初めてだったといいます。
その女性が
「すぐに警察を呼んで!こんな人がいるから安心して電車にも乗れない!」
男性は
「警察でもどこにでも行ってやるわ!」
こんなやり取りが10数分続くのですが終わりそうにもなく、仕方なく警察を呼びましたが警察も困惑していました。
だってじーっと見ていたという証拠もないし、そもそも視線が合ったからというだけでは犯罪には該当しないですしね。
私は満員の電車に乗る際は必ず両手は上のほうに、そして誰とも視線が合わないように新聞を読むか最近ならばスマホを見ていますよ。
冤罪だけはご免ですから・・・