京急踏切事故「600m手前から信号見えず」当初の説明と異なると題するニュースがNHKから11月12日に配信されました。
事故のあった踏切の異常を知らせる特発は、もっとも外方に設置されたものは当該踏切から340mの地点にあります。
当初会社の説明では、この特発はさらに260m外方から運転士が確認できるとされていました。
非常制動による列車の制動距離は、六百メートル以下としなければならない。
に基づいて、340m+260m=600m という距離となっているのでしょうね。
※いまは「鉄道運転規則」は廃止されて2002年に「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令」が定められました。この106条で
“新幹線以外の鉄道における非常制動による列車の制動距離は、600m以下を標準とすること。ただし、防護無線等迅速な列車防護の方法による場合は、その方法に応じた非常制動距離とすることができる。” となっています。
以前にも書きましたが、この600m条項に従って説明したものだと思います。
ところが実際にはこの特発は260m外方からは確認できないことが分かったのだそう。
カーブしていることや、電柱やその他の信号機の位置関係から視認できなかったのでしょうね。
ただ京急側は
としているそうですから、問題はないというスタンスのようです。
私が勤務していた会社でもあったけど、線路の配置図(線路図表など)では600m外方で視認可能となっているけど、実際に電車の運転台から見た場合にはそんなに遠くからは視認できないというケースも多かった。
カーブのほか、線路沿いの民家が大きなビルやマンションに変わったとか、以前は上り線側の電柱に設置していたけど工事の都合で下り線側の電柱に移設したとか、配置図と実際とがかなり違っているケースって多いのです。
配置図ってホントに作り替えないですからね。
現場の乗務員や助役は周囲の景観が変わったことで
「前より見えにくくなった」
って認識しているけど、本社サイドは作り替えられていない配置図を見て発表したのかなって思います。
そういえば運転士の操縦試験に距離目測という項目があって、A駅の端に建っている閉塞信号機から次の閉塞信号機までの直線距離を目測しろっていうのがあったのです。
カーブしている区間だったのですが実際に視認できていたはずなのに、試験の日には線路沿いの木が伸びてしまって次の閉塞信号機なんて全く見えない。
「見えません!」
って試験官に答えたら
「ここは326mあるのだが・・・」
ってもそもそと言われたのですよね。
試験がどうのではなく、視認距離によって確保できる制動距離やら信号現示を考慮しているわけですから、これってホントは大問題なハズです。
でもその木は長い間切られることなく伸び続けていました。
そしてその後もずっと線路の配置図では視認距離は326mと記されたままでした。