昨日JR東日本から「首都圏の輸送システムの変革を進めます」というタイトルでの発表がありました。
現在どこの鉄道でも主流である軌道回路方式による列車制御方式から、無線式の列車制御方式(ATACS)へに変更による超高度化された制御方式の実現。
ATACS導入によってATO(自動列車運転装置)のさらなる高度化を実現。
ATACS導入・ATO高性能化は2028~2031年頃の使用開始
ATO導入・ワンマン運転は2025~2030年頃の導入
と具体的な目標も発表されており
すでにATOが導入されている常磐線・綾瀬~取手のほか、山手線、京浜東北線、根岸線、南武線、横浜線がこれらの計画の対象路線となっています。
これだけの設備を導入すればワンマン運転どころかドライバレス運転も容易に導入できると思われ、JR東日本もGoA3レベルの自動運転を目指すと明記しています。
ドライバレスの自動運転に関してはJR東日本が最も積極的に導入を目指しており、その他のJRでは時期の表明にまでは至っていませんが自動運転の導入を目指して実証実験を行っています。
ワンマン運転で車掌の乗務が省略化された後に、運転士に代わって添乗員が乗務して運転自体はすべてを機械任せになる。
駅員も車掌も運転士も必要がなくなる、そんな鉄道が10年先には首都圏で実現しそうですし、大阪環状線などその他の地域でも順次実現するような気がします。
私が運転士を辞めてから7年ちょっとになるのですが、この間に劇的に鉄道に関する状況が変わっていきました。
都市部では車掌どころか運転士までいなくなる時代が迫ってきているわけですが、この流れはJRだけにとどまらずに私鉄や公営鉄道にも波及していくでしょう。
駅員や車掌の養成に関しては2~3か月程度で終わることから、費用に関しては大したことは無いかもしれません。
ところが運転士を要請するには莫大な費用が掛かると言われていて、一人の運転士を養成するのに700万円とか1000万円かかると聞いたこともあります。
1年近く学科や実技の見習期間が必要で、会社としては基本給を支払いながら勉強させるわけですから、まったく利益につながらない。
運転士を養成するための設備もかなり高額ですし、教える側の人件費も必要だし。
毎年10人の運転士を養成するだけで1億円ほどかかるのですから、その費用を設備に回して無人運転につなげていく方が会社としては儲かりますからね。
ただ懸念は治安状況の悪化にどう対処するのかなという事。
今でも運転士と車掌の2名だけでは車内で騒動が起きたときに対処しきれていないのに。
JR東日本はこの点について
「異常時には、運転士の代わりに運転指令が乗客と会話できるような対策は進めていく」
としているそうですけど、先日の京王線での事件などでは、車内非常通報装置を使っての会話なんてできる状況ではなかったですしね。
こんなに早く
「運転士って何?」
と言われる時代が来るとは。