関西の私鉄で勤務していた私は、半年だけでしたが助役をしていました。
4月から9月末という期間だったのですが、非常呼出で出勤した経験が二度あります。
二度とも台風接近によって列車の運行が抑止(見合わせ)となる可能性が非常に高くになった際に出勤しました。
先日の積雪の際にも多くの監督職が異常呼び出しによって出勤したのではないかと思われます。
さすがに地震のように前もって起きることが分からないものは除きますが、台風や大雪など事前に気象庁などで大きな被害が起こる可能性が高いと発表されている場合には、その日が公休や非番に当たる監督職に対して家で待機しておくように命令が下されます。
そして被害が拡大しそうだと判断されると、所属している部署(乗務区や管理駅)から電話で招集要請が来ます。
雪害や暴風雨などその時の被害状況やこの先に予想される被害の状況、気象庁が発表する警報や気象情報などによっていくつかの等級に分けて、その等級に応じてどのような対策を取るのかが決められており、その中に非番や公休の監督職を非常呼出によって招集することも書かれていて、この決まりに沿って出勤しなければいけないと定められています。
ちなみにこの等級分けの中には融雪機の設置について書かれた一文もありましたが、積雪量ではなく大雪が予想される場合とか極めて低温が予想されるときといった場合に融雪機を設置、次の等級に進むと融雪機を使用となっていた記憶があります。
かなり抽象的ではありますが、今回の関西での大雪のケースで私鉄が運行を続けられたのはこの抽象的な一文のおかげかもしれません。
と言っても本来はお休みの日ですから、建前上会社が命令として出勤させることはできません。
あくまでお願いでのベースではあるのですが、
「明日は荒天が予想されれるので、第二弾として君を招集する方向になるのでお酒を飲まずに家で待機していてほしい」
と要請されます。
あくまで〝お願い〟で強制はされません。
でも応じない監督職なんていませんし、電話で要請が来た時に
「昼から飲んでいて出勤できません」
なんて答える人は皆無です。
あくまで公休や非番の日ですからお願いではあるのですが、そこは体育会系のノリというか男社会ならでは絶対服従と言いますか、まあ半強制的な呼び出しにはなるのですが。
こうして呼び出されると日常業務以外の応援ということで、添乗強化による被害状況の早期把握と被害に対する措置を主に行っていきます。
基本的に添乗は普通列車で行います。
異常が起きそうな個所があれば列車無線で報告または駅の鉄道電話を使って乗務区へ報告、実際に支障が出ている場合は同じように報告して現場へ行き処置を行います。
暴風雨によって沿線の木が傾いて列車の運行に支障があれば、ノコギリや高枝切りばさみを持って行って切り倒すということも行いましたよ。
私は乗務区の助役だったのですが、駅や車庫・信号所の助役ならば今回のような大雪の場合は融雪機の設置と点火、カンテラ型の場合は給油作業を行いますし、雪を掃き飛ばす作業なども行います。
また駅の助役は駅周辺の天候状況を逐次管理駅や運転指令に報告して、現状をいち早く察知できるような行動も必要となってきます。
風速計などの観測機器は当然ありますが設置個所ってあまり多くはありませんから、生の助役の声の方が重宝されるのは当然のことですよね。
ちなみに信号士など一部の職種を除き非常呼出の対象にはなっていない職種もあり、乗務員や駅員は対象外でした。
でも運転士の時に一度大雪によるダイヤ乱れの時に呼び出しを受けたことがあります。
私はお酒を飲まないことをっ監督職が知っていたからでしょうね(笑)
ただ昔は非常呼出で出てきた監督欲の中に明らかに酔っているような人もいましたよ。
それでも暴風雨や大雪の中、軌道内へ降りて作業をしていましたけどね。