ネットのニュースでは今でも時々電車がオーバーラン(過走)した記事が掲載されますが、本来の停止位置より手前に止まったという記事は少ないですね。
何種類かの編成両数の車両が使われていて、それぞれで停止位置が違うケースがあります。
多いのは後部に改札や改札へと続く階段があるので、停車位置を後部でそろえているケース。
本当は6両編成を担当しているのに間違えて5両編成用の停止位置に止めちゃうと、後部の1両がホームにかかっていないという事態が生じることがあります。
駅によっては後部の車両がポイント上に停止したり場内信号機を超えていないことから、後続の車両が別のホームへ進入できないケースももちろん出てきます。
過走した列車を正規の位置へ移動させる手順は昔から明確に決まっているのですが、手前に止まった列車を正規の位置へ移動させる時の手順は、私が車掌になった頃はまだ慣習による手順しかありませんでした。
昔2両分間違えて手前に止めてしまった運転士に対して、車掌がベルを送った。
そのベルを聞いた運転士は出発合図だと思って列車を出発させてしまい、客扱いを行うことができず結局は駅誤通過となった。
運転士が間違えて手前に止めてしまった場合は、慣習として車掌が運転士に対してベルを鳴らすということが定着していたのですが、この件以降はインターホンを使って車掌が運転士に知らせることになったのでした。
私は運転士の見習中に3mほど手前に止めてしまったことがあります。
まだ惰力がよく分かっていないかったために、ブレーキを緩める(階段)のが遅かったことが原因です。
途中から上り勾配になっていることも考慮できていなかったし。
その駅は停止位置から前方には5~6mほど余裕があるのですが、後部は2mほどしか余裕がありません。
3mほど手前に止めてしまったために後部の乗務員室はホームにかかっておらず、車掌は扉扱いを行いませんでした。
実はその駅では、私が車掌として乗務している時もたびたび手前に止めてしまう運転士がいて、乗務員室がホームにかかっていなくても、ドアがホーム上にあれば扉扱いすることが慣習で行われていました。
私の横で師匠が怒りながら車掌に対してインターホンで、
「ドアがホームにかかっているのならばドアを開けろ!」
と怒鳴り、それに対して車掌が、
「乗務員室がホームにかかっていないから安全確認ができない、そちらが停止位置を修正しろ!」
なんてやり取りがって、ちょっと気まずい雰囲気になったことを覚えています。
この1件以降、車掌が乗務する乗務員室がホームにかかっていない場合は、運転士は正規の位置へ停止位置を修正するということが正式に決まったのです。
※私がルールを作った?
このケースでも車掌が運転士に対してインターホンで停止位置を修正するように指示することになりました。
今回このような記事を書いたのは
JR青梅線 運転士が居眠りか 停車位置の3メートル手前で止まるという記事を見かけたからです。
本当に眠たい時って停止直前に落ちてしまいそうになることが多いような気がします。
停止目標をじっと見ているからかな。
きちんと制動操作を行い、あと少しで停車っていうところで落ちてしまいそうになったことを、何度か経験した私です。