空転・雨や雪の日は電車は思うように走ってくれません
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空転・雨や雪の日は電車は思うように走ってくれません

運転士

運転士にとって憂鬱な梅雨

今年は梅雨入りが早くすでに九州や四国が入梅していますし、西日本全体が梅雨入り間近といった感じです。

電車の運転士をしていて雨や雪の日が好きだという人は皆無でしょうね。

何せ走らず止まりにくいという最悪の状況に陥ってしまうのですから。

 

 

空転検知装置

空転とは簡単にいえば空回り状態です。

ノッチを投入するものの、車輪とレールとの間に水などが入り込むことで車輪がレール踏面を捉えることができず、急回転してしまう現象です。

私が乗務していたやや古い車両の場合には空転検知装置は当然無く、空転が続いた場合には高速度遮断機が動作して回路を遮断し、無理やりノッチオフ状態にしていました。

でも場合によってはオーバーロードすることも。

これに対してVVVF車には空転検知装置を搭載して登場したのですが、これはこれでかなり困ったもので。

わずかに空転しそうになった瞬間に電流を下げてモーターの回転数を抑制し空転を起こさないようにするのですが、あまりにも電流を下げすぎて今度は速度が上がってくれません。

上り勾配の区間では顕著にその兆候が出て、通常ならば80~90㎞/hで上っていくその勾配で40㎞/hほどしか速度が上がらないことが頻繁に起こりました。

 

運転士の腕も発揮できないことが

登場当初の空転検知装置付きの車両の中には、雨天時の30‰の上り勾配で15㎞/hほどしか速度が出ず大幅な遅延を出したこともあって、装置のロムを交換してそこまで電流を下げずに走るようにしたのですが、すると今度は普通に空転するようになりましたね。

元々VVVF車両は空転しないとの触れ込みだったのですが、空転しないように無理やり装置で押さえつけていただけだったという声が現場で広がりました。

その後にいくつかの新しい形式の車両が導入されるたびに、空転検知装置に関しての問題が取りざたされていました。

結局雨や雪などによる空転対策は、機械より運転士の腕にかかっている部分が今でも大きいのです。

でも空転検知装置が搭載されていると、運転士の意思に反して動作することもあるので、意外と使えない装置だなという印象を私は持っています。

若い運転士たちは違った印象を持っているのかもしないのですが。

 

空転対策(に、なっていたのかな?)

短い編成で制御器が1つしかない場合、これはもうお手上げですね。

高速度遮断機で回路を切断するので、働いた瞬間惰行状態になります。

低速で上り勾配を走行中に空転によって回路が断たれると、後ろに下がって行かないかなってかなり怖かったですね。

長い編成で制御器が2つ以上ある場合、力行の回路が切断されるのは制御器単位のため、例えば前のユニットは力行オフの状態でも、後ろのユニットは回路が切れず力行状態の時もあります。

会社からはノッチをオフにしろと言われてましたが、私は1つでも回路が生きていて走っている状態だったらノッチをオフにしませんでした。

ノッチをオフにして空転せずに走行できているユニットまで閉じちゃうと、またすべてのユニットで0から進段し直すわけで当然遅れるわけだし、低速域でノッチをオフにするとけっこう衝動も感じますしね。

そこで、

私がいた会社の古い車両には「戻しノッチ」とか「抑速」なんて機能はありませんから、ノッチを4段(古い車両は4ノッチまでしかなかった)まで入れて回路も並列・弱め界磁にまで進んでいると、そこからノッチを1や2に戻したって何の変化もありません。

そこで複数の制御器がある編成で片側のユニットだけ空転で切れちゃった場合、ノッチを2とか3に戻しておきます。

切れていないユニットはノッチを戻したところで4段のまま(並列・弱め界磁)で、切れた側のユニットは2ノッチや3ノッチ相当(2ノッチで直列最終段、3ノッチで並列最終段)までしか進段しないので、ほとんど空転せずに走ってくれます。

頃合いを見計らってからノッチを4にまで入れると、かなりスムーズに走ってくれるんですよね。

会社はこんなこと推奨していませんでしたけどね。

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