私が居住しているのは関西ですが、11月の末でも20度ほどあった気温が12月に入ってガクンと下がり、クリスマス前に真冬の気温になるなど気温の急降下が激しい冬です。
私が車掌になったころは乗務員室のヒーターといえば運転台側だけにあり、車掌が通常立つ側には何も設備がありませんでした。
しかも運転台側のヒーターだって電熱タイプ(シーズ線といってニクロム線を金属のパイプで囲ったもの)で大きさは30cm×20cmくらいの大きさだったので、乗務員室全体を温めるには役不足。
それでも車掌時代は若かったことから、着こんで我慢して何とか耐えていました。
その後運転台側はそのままに車掌台側に温風ヒーターを設置して、一気に冬場の乗務員室内の環境が良くなったのですがそれも束の間。
運転台側も温風ヒーターに替えられたものの、なぜか容量がかなり小さなものに替えられたり、元々暖かかったヒーターは設定温度を大幅に下げられてしまい、結局はまた極寒の乗務員室に逆戻りしました。
何でもよその乗務区でヒーターが熱すぎるというクレームを入れた運転士がいるそうで、会社はその言葉を渡りに船とばかりに乗っかって、すべての車両のヒーターを「低温」タイプに替えたり設定温度を低くしてしまったのです。
熱かったらスイッチを切れば済むだろうと、私がいた乗務区からかなり文句を言ったのは言うまでもありません。
ということで乗務時は自分で寒さ対策を行う必要が出てきます。
もちろん着込むのが最も手っ取り早いのですが、運転士の場合はあまり着込みすぎるとブレーキの操作がしにくくなりますので、影響が出ない程度に着込まなくてはいけません。
私がよく実践したのはレッグウォーマーを付けることと、カイロで温めることですね。
ふつうでしょ?
レッグウォーマーは足というより、足首を冷やさないために付けていました。
首と名の着く部分は太い血管が通っていて、その血管を温めることで全身に温まった血液が流れて全身が温まりやすくなります。
本当は首にネックウォーマーを付けたかったのですが、それは監督職から許可が出ませんでした。
手首は大きめの長袖のシャツを着て手首を隠すようにしていました。
今ならばアームカバーを付けて乗務していたかもしれませんが。
そしてカイロは腰に当てていました。
ちょうどおヘソの真裏に位置する部分にカイロを当てていると、全身が温まるのです。
貼るカイロでも良いのですが、私は腹巻の中にカイロを入れていました。
おヘソの真裏の腰の部分にカイロを当てていると、腰はもちろんお腹もポカポカしてきてすごく気持ちが良い。
最近になって知ったのですが、おヘソの真裏の腰の部分って命門というツボの場所らしく、全身が温まる場所らしいです。
腹巻をしてさらにセーターを着てからの上着だし、かなり分厚めのレッグウォーマーを付けてからのズボンですから、真冬はやや着ぶくれ状態で電車を運転していました。
でも運転操作に影響が出ないことは第一に考えていましたけどね。
私は外套(がいとうと呼びます・コートのこと)は嫌いで会社にいる間一度も羽織ったことがありません。
信じられないほど防寒性能がない外套だったし、めちゃくちゃ重く感じて肩が凝るので私はイヤだったのです。
でもその防寒性能の低さから春先になっても着ている乗務員、特に車掌が多かったですね。
制服の上着を着ずに外套を羽織って乗務すると春先はちょうど良い感じだったらしいです。
あと本当は手袋は会社支給のものではなく軍手を使いたかったのですが、こちらも監督者から許可がおりませんでした。
会社支給の手袋は見た目には良いのですが、夏は蒸れるし冬は指先の感覚が無くなるほど寒いし、まったく良い部分がない。
おまけに新品の時はやたらと滑りやすいから、ブレーキ操作に支障も出るから大嫌いでした。
それに比べて軍手はあまり蒸れないし冬はそこそこ温かい、そしてブレーキハンドルを握っても滑りにくいから理に適っているのです。
寒ければ会社支給の手袋を2枚早着するか、どうしても軍手を使いたければ軍手をはめた上に会社支給の手袋をしろなんて、マジで意味不明なことを言う監督者でした。
安全性や機能性よりも見た目を重視する会社でしたからね。。。
他社では元々こういう対策は必要なかったかもしれませんし、私がいた会社だって今の車両はこんな防寒対策をしなくても快適に乗務できるんじゃないのかなあ。