運転本数の見直しの短期的視点と長期的視点
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運転本数の見直しの短期的視点と長期的視点

明日8月27日に東京メトロ銀座線・丸ノ内線・東西線・千代田線の各線でダイヤ改正が行われる。

コロナ禍後を見据えても旅客数の伸びは期待できないと判断したのでしょう、各線ともにラッシュ時を含めて運転本数の削減がメインのダイヤ改正です。

東京メトロに限らず日本中の鉄道路線で旅客数の減少が顕著になっており、さらに今後も旅客数の伸びはほとんど期待できないことから、この流れはまだまだ続いていくでしょう。

 

短期的に見た場合、列車本数の削減では言うほど経費の削減にはつながりません。

極端な言い方をすると電気代が多少浮くかなという程度。

このダイヤ改正に向けて様々な方策を数年かけて練ってきておれば、もっと経費の削減はできていたでしょう。

例えば乗務員の定数の削減とか、所有車両数の削減とか。

でも急に襲ってきたコロナによる旅客数の減少はさすがに予想しておらず、ここ1年ほどの様子を見たうえで取りあえず列車の運転本数を削減した程度でしょう。

今回のダイヤ改正で目立った問題点が無ければ、このダイヤをベースにした乗務員の定数の見直しや所有車両数の見直しが行われていくわけです。

つまり短期的にはとりあえず今までより空いている列車の乗車率の向上を目指し、長期的には今後の収益を見据えた最初の動きということでしょうか。

 

極端な言い方をすると、列車をラッシュ時間帯に1往復減らせば、所有車両も1編成を減らすことができます。

ついでに乗務効率の向上を謳い文句に、各仕業の乗務量を増やします。

私が在職中は運転本数の増加が多かったのですが、乗務効率の向上もついでに行うことで、例えば運転本数は10%増加に対して乗務員の乗務量は20%増えるって感じでした。

運転本数の増加より乗務員の増加を抑えようとしますからね。

そして運転本数が減少に転じると仕業数が減り、一時的に乗務員が余ってきます。

関連会社への出向を含めて乗務職場以外へ異動させるとともに、新規での乗務員の採用数を減らすことで、気が付けば乗務員の数が相当数減っているということに。

結果的に運転本数の減少以上に乗務員を減少させるわけですから。

一部は乗務員を助役など監督職に上げ、助役などを他社へ異動させることもあります。

※これ私のパターン

私がまだ車掌の時代なんて、遊園地へ異動させられた助役もいましたからね。

出勤管理で偉そうにしていた助役が、遊園地でピンク色の派手な衣装を着て愛想を振りまいているのを見たときは、いろいろと考えるものがありましたよ。

 

車両も古い車両を廃車して、新規車両の導入を見送ることで所有車両数も減少していきます。

最近だと古い車両を積極的に廃車し、省電力でメンテナンスの工数が非常に少ない新型車両を積極的に入れたりもします。

そうなると車両課の人員も見直しの対象になる。

運転本数が減れば電気課や工務・土木課などもこれまでより作業数が減る、ということにしてこちらも人員が削減されていく。

実際こんな感じなんですよ。

 

会社によってはラッシュ時間帯に車両を増結して運行していますが、この増結を取りやめて増結車両を持たなくするだけで、点検にかかわる人員とお金、さらには税金や保険など莫大な経費が浮くと言われています。

また同じ運転本数でも折り返し時間を工夫することで必要車両数が減らせますが、これで6両とか8両の1編成を持たずに済むことになれば、その経費削減はものすごいことになりますからね。

ダイヤ改正で折り返し時間を工夫して、日中の必要編成数を1本減らしたダイヤ担当者(スジ屋さん)は上層部にすごく褒められて、現場上がりでは異例の出世をしたなんてこともあるほどです。

 

運転士で言えば、1日あたりの乗務量(距離や時間)が増加することで疲れが溜まり、仮眠もろくに取ることができない状態で運転することで、また居眠り運転が!って記事が増加するかも・・・

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