人身事故で車両振替となった車両を出入庫させたときの話
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人身事故で車両振替となった車両を出入庫させたときの話

私が車掌だった昭和50~60年代、私が勤務していた会社ではワンマン運転を実施していませんでしたから、出庫や入庫を含めて車掌の乗務が必須となっていました。
車両故障や人身事故などで車両の振り替えを行うときでも、駅に隣接している車庫といったわずかな距離であっても車掌が必ず乗務していました。

車掌として予備勤務をしているときには車両振替による出庫や入庫という仕事が大半で、次いで遅刻してきたり体調不良(主に腹痛)の車掌の代務が多かったかな。
何もない日の予備勤務はご飯を食べたりお茶したり、同僚たちとペチャクチャとしゃべりまくったり漫画や新聞を読んで1日を終えるのですけどね。
休憩所で待機しているときに列車無線が入ります。
通話試験だったり、軌道内へ作業員が立ち入るといった連絡が多い中、人身事故の一報が入ると予備勤務者は出勤担当助役に指示を受けます。
「信号所へ行って待機してくれ!」
信号所と運転指令は電話でやり取りしながら車両振替の手順の打ち合わせをし、その打ち合わせに沿って予備勤務者は出庫させる車両の点検を行います。
通常の出庫だと車庫構内の入換信号機の現示時間をあらかじめ聞いているのですが、車両振替の場合は入換信号機が点いたら出庫してねって感じです。

 

 

入換信号機の現示によって車両を出庫させてホームに停車させて、事故車両の到着を待ちます。
事故車両が到着すると、担当してきた乗務員にねぎらいの言葉を掛けます。
「大変やったなぁ、お疲れ様」
程度の言葉ですけどね。
担当してきた乗務員によって顔が真っ青になっている人もおれば、興奮しながら状況を話す人もいます。

そして事故車両を入庫させます。
すぐに車両の点検を行うので、車庫の検修庫(ピット)へ入っていきます。
検修庫内へ車両を止めると、車両課の係員が一斉に飛び出てきます。
車両課の人もやっぱりいろいろおられまして、ムスッとした顔をして車両へ向かってくる人もおれば、メチャクチャしゃべりながら車両へとやってくる人もいます。
車掌時代の人身事故による車両振替で今でも覚えているのは、車両課の人たちがめちゃくちゃハイテンションだったときのことかなぁ。

「車掌さん!これ見てみ!肉片付いてるわ」
「そのカプラー(連結器)の裏側!メッチャ大きいのが付いてるわ!」
私は見たくはないのですが、3~4人の車両課の方々に言われたので仕方が無く覗き込んで見ました。

今でも人身事故って多いような印象を受ける方が多いと思いますが、昔のほうが件数は圧倒的に多かったです。
今はネットですぐに情報が伝わるので人身事故の情報に触れる機会が多いですが、昔は鉄道の人身事故なんて新聞やテレビで報道されるのはごく一部。もちろんネットなんて無かったし。

 

 

予備勤務の乗務員は入庫させて一仕事終わり。
車両課の方は点検とバケツとブラシで車両をザっと掃除して終了。
故障個所があれば数時間以上かかることもあるし、人身事故の内容によっては警察によってその車両の使用を禁止(保管)されることもありますが、通常は翌日には普通に使われることに。

そういえば人身事故があったとしてもその当該車両のお祓いなんてしないですね。

「最近この車両って変な音しない?」

みたいなことはありますが、誰も何も気にせず乗務しています。

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