踏切でレールを枕にして寝転ぶ人が
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踏切でレールを枕にして寝転ぶ人が

少し前に
“初めて人身事故を強く意識したとき”
という記事を書きました。

初めて人身事故を強く意識したとき
運転士をしていると人身事故というのはどうしてもついて回るものです。 私もそうですが、運転士の中には一度も人身事故を経験しない人もいます。 でも人身事故はやっぱりついて回るものなんですよ、運転士をしていると。 私が初めて人身事故を意識したのは...

本務運転士(独車)になってすぐと3年目のときの話を書いたのですが、運転士をしていた26年の間には

「これは轢いたな」

「これはダメだな」

って人身事故を覚悟したことは何度かあったのですが、その中でも強烈に印象に残っているのは運転士を辞める3年ほど前にあった1件でした。

 

 

“初めて人身事故を強く意識したとき”に書いた、セーラー服を着たホームレスのおっさんがホーム上でふざけていたために非常制動を入れた、その駅のすぐ手前の踏切で起こりました。

場内信号機の手前の閉塞信号機のYG(黄青)現示を確認したあたりでした。
その踏切は人も車も通行量がかなり多く、この閉塞信号機を確認したあたりだとまだ大勢の人が踏切を渡っています。
閉塞信号機の直近あたりまで進行すると遮断機によって踏切は閉鎖される、というタイミングに設定されています。
でも朝や夕方の人通りの多い時間帯には踏切が閉まっていても渡ろうとする人が多く、この踏切は頻繁に障検(障害物検知装置)が動作するイヤな踏切でもありました。

ただその時はまだ朝の6時過ぎでしたので、ほとんど人通りもない時間帯。
この時間帯は運転本数もまだそう多くはないですし、踏切が閉まっているのに渡ろうとする人はまずいません。
ところがこの時は左手から一人踏切に入ってくるのが見えました。

「そのまま通り過ぎりだろう」

そう思った私は場内信号機のY(黄)現示に合わせるように、速度を45km/hへ調整するためのブレーキ操作を行いました。

ところが踏切に入った人は通り過ぎるどころか、膝を立ててレールを枕にするようにして寝転んだのです。

「これは遺体は3つに切断されるパターンだな」

と思いながら短急数声の気笛を吹鳴しながら非常ブレーキを入れました。
自分でも本当に落ち着いていましたよ。

 

 

あと20mほどで人身事故発生というところですくっと立ち上がって、踏切へ入ってきた同じ方へ走って出ていきました。
走っていく姿からは若い女性だということがハッキリとわかりました。

列車無線で状況を報告しとりあえずその踏切へ行こうとしたのですが、駅の係員が踏切へ行くので列車は通常通りに出発させろとの指示が運転指令からあったのでそのまま出発。
このときの車掌は超ベテランの人だったのですが、ホントに落ち着いて普段通りの放送を車内へ行っていました。

乗務区の休憩所に戻り助役からいろいろと話を聞いたのですが、踏切に入ってきた女性は彼氏に別れを告げられて自暴自棄になって踏切に侵入したが、やっぱり怖くなって踏切から出ていった。
でもやっぱり意を決したのか私が担当する列車(上り)が出発した後に再び踏切から侵入し、進入してきた下り列車の前方に立っていたところを駅の係員によって保護されて、警察へ身柄を引き渡したそうです。

私が助役とこのような話をしていたのを横で聞いていたこの日の乗組みの超ベテラン車掌ですが、なんと私が非常ブレーキを入れたり列車無線でやり取りをしていたことを知らなかったそうで

「え!ホンマに踏切で横になってたんか・・・」

そのベテラン車掌はそれから動悸が激しくなって冷や汗が止まらず、顔を真っ青にして椅子に座り込んでしまいました。

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