JR東海の新幹線車両の重要部検査(重検・台車検査)と全般検査(全検)の検査周期を延ばす方針を打ち出しました。
重検は1年6か月または60万km以内から1年8か月または80万km以内へ
全検は3年または120万km以内から3年4か月または160万km以内へと延長するらしいです。
当初は2022年4月以降に投入するN700Sに、2026年度末までにすべてのN700SまたはN700Aの新製車(1000番台のG編成)に適用するそうです。
モーター部品の潤滑剤交換をこれまでの全検の時から重検の時に実施することとし、外部の有識者を交えた検討会でも、点検周期の延長を行っても安全性に問題はないとされた。
重検でも全検でも、一度工場入りすればその間は当然ながら運用に入れることができません。
また検査ってかなりのお金がかかるのも事実ですから、検査周期を長くすることで年間の検査費用が現行より安くなることに加え、検査入場を見越した予備車両の確保も現行より少なくて済むというメリットから、鉄道会社としてはどうしてもやりたい費用削減策なんですよね。
私が運転士だったころに私が勤務していた会社でも同様のことがありました。
それまで3~4日程度の周期だった列車検査(仕業検査)の周期を7日程度に拡大。
その理由がVVVFなど新しい機能の車両が増え抵抗制御の車両が減少傾向のため、故障頻度が低下していて列車検査の周期を延ばしても問題がないから。
この当時はまだまだ抵抗制御で電磁直通ブレーキの車両がわんさか走っていたのですけどね。
それとともに予備車両も極力持たない方針が示されて、それこそ朝のラッシュ時間帯に車庫を覗いてみると、1~2編成しか電車がない状態が普通になっていきましたからね。
重検や全検にしたって国の規則に反しない範囲で少しずつ伸びていったし、数日使わない車両はすぐ休車扱いにして検査期限を延ばしていく、なんて方法もよく取られるようになりました。
すると故障が多くなったんですよ。
オーバーロード(過負荷)なんて雨天の力行時くらいしか起きなかったのに、制動時にオーバーロードすることが多くなった。
私も1C8Mのユニットのうち1両目の全4モーターと2両目の2~3個のモーターが制動時のオーバーロードでダメになって、電車線は停電させるは、モーターから飛び散った火花で枕木は焼けるはなんて大騒動を起こしたこともありますからね。
また予備車両まで減らしたおかげで、別件の車両故障の影響で朝ラッシュに運用する車両が底をついて、4両のうち1両がモーター不動の状態なのに、朝ラッシュだけの運用だからと優等列車に入れて運転したこともありました。
異常に加速状態が悪い編成になるのも当然だし、また故障したら大変だとして車両課の人が添乗して様子を見ながらの運用でしたよ。
ほかにも細かい故障が多発するんです。
それこそワイパーが動かないとか、前照灯の電球が一個玉切れしてるとか。
車庫や工場へ入る機会が減ると掃除も行き届かなくなるしね。
JR東海がそんなひどいことをするとは個人的には思わないけど、でも少しずつ影響って出てくると思うのです。
だから運転士としては、検査周期の延長はやっぱり反対です。