優等列車を担当していた私は、終点の駅でお客さんからある申し出を受けました。
「たしか〇〇駅と△△駅の間だったと思うけど、空いていた窓にスイカが飛んできて、さっきの駅で降りた人にかなりスイカの汁がかかっていた」
運転していた私はそんな異変に気づきはしませんでしたし、申し出のあった区間で不審者らしき人を見かけた記憶もありません。
駅の助役を呼んで一緒にスイカがぶつけられたという車両を見に行きました。
窓が全開にされていてブラインドが下ろされたその窓の外枠などには、スイカの破片や種がへばりついていました。
車内へ入ってシートを確認したところ予想以上にスイカの汁で汚れており、夕方の帰宅ラッシュなのにそこの席だけ空いたままになっていました。
私がその日最後の乗務を前に夜の乗務区で休憩していると、奇妙な無線が飛び込んできました。
「〇〇駅と××駅間を走行中に何かは分かりませんが、白っぽい物体がフロントガラスに接触しました」
その列車は各駅停車だったので××駅に停車後、確認するように運転指令から運転士に対して指令が下されました。
しばらくすると当該列車の運転士から
「××駅の助役とともに確認したところ豆腐が当たったようです」
豆腐?
わざわざ買ってきて電車にぶつけたのか?
賞味期限切れの豆腐をぶつけたんじゃ?
乗務区内はしばし豆腐の話で持ち切りとなりました。
翌日その運転士に話を聞きましたが
「最初は白い物が何なのかわからず本当に怖かった。ワイパーの根元に残っていたものを触ると豆腐だったんです」
真夏の夜遅い時間に場内信号機がYY(警戒)が現示されており、当然ですが私は信号現示通りに速度を落としました。
※普段はY(注意)現示で入場する駅です
場内信号機からホームまではやや距離があり、途中には踏切もありました。
エアコンの効きが悪い車両でしたので側窓を落として運転していた私。
普段よりゆっくりと駅へ進入する列車に腹が立ったのか、踏切の外で待っていた若い男性が火の付いたタバコをこちらへ投げてきました。
側窓を落としていたので、その火のついたタバコが乗務員室に入ってきて、私の後方の遮光幕(カーテン)に当たりました。
この時は本当に驚いてしまって、思わず非常ブレーキを投入してしまいましたから。
投石以外にもホントにいろいろな物を投げ入れらるんですよ。
もちろんすべて警察へ通報していますけども。