私が会社へ入ったころ、駅務室はエアコンが入っていました。
ただし冷房専用で暖房の機能はありませんでした。
今の機械とは相当違うと思いますが、私が駅にいた昭和50年代の券売機って簡素でそう大した機能もなかったのですが、発熱量がハンパではありませんでした。
改集札機は今ほど多機能ではなく、切符や定期券の裏側の磁気で入力された情報を読み取ってセーフかアウトの判定をするのと、切符の場合は端っこに丸い穴(入鋏)が開いていないかを光を当てて判別し、開いていればアウトで開いていなかったらセーフで穴を開ける。
のちに回数券が11枚綴りのものから切符と同じスタイルに変更になったときに、日付や駅名を印字できるように追加はされましたが、それでも今の改集札機とは雲泥の差。
なので発熱量は大したことなかったです。
券売機本体と券売機を制御するおおもとの機器である制御器があるのですが、冬場は結構暖かく感じるほど。
夏になればもう冷房を入れないととんでもない暑さになっていました。
あまり広くはない券売機裏の空間に不釣り合いな大きな冷房専用のエアコン。
家庭用のタイプではなく、業務用の天井に吊るすタイプのものが各駅の券売機裏に設置されていました。
東日本大震災の後、日本各地で節電が叫ばれましたよね。
電車の冷房の設定温度も少し高くされるなど、乗務していても汗がダラダラ流れ落ちる状態で運転していました。
あの頃駅では同じ内容の苦情が頻繁に寄せられたといっていました。
「客が乗る電車や待合室はめちゃくちゃ暑いのに、なんで駅員がいる所は寒いほど冷やしてるんや!」
本当にこの苦情が殺到したそうです。
一般的な改札でも奥のほうからかなり冷たい冷気が流れてきますから、お客さんがその前を通過したら
「なんでや!」
ってなりますよね。
クレーム対策として券売機裏の冷気が流れてこないように締め切ってしまい、駅員も汗を流しながらの仕事を強いられたとか。
何せ券売機用の冷房はあるけど、駅員は券売機用の冷気をちょうだいするだけでしたから、扇風機で耐えていたそうです。
大きな駅でガラス張りになったカウンタータイプの助役室や案内所も大変だったようで、こちらは券売機などの駅務機器に関係なく駅員のためのエアコンが設置されています。
本社からの指示で設定温度を電車の車内並みに上げろとなって、結構大変だったといっていました。
空気が流れない場所でエアコンの設定温度を上げると、相当蒸し暑く感じるそうです。
さすがに今は労働環境の向上もあるでしょうから“駅員用”の冷房もあると思いますけど。