暖房を入れたくても乗務員ではどうしようもなかった昔の車両

日中は暖かくても朝晩はかなり寒くなる季節になってきました。

特にお客さんの数が少ない早朝の車内は、ホームから車内へ乗り込んだ時に寒い!って感じることもあります。

現在の鉄道車両ならば空調の自動運転も可能で、入れっぱなしにしておけば温度や湿度に応じて冷暖房や除湿に送風などを適切に組み合わせて、空調装置が運転方法を自動で切り替えてくれます。

空調の自動運転を用いないにしても、日中は直射日光が差し込んで暑くなると判断すれば冷房を入れられるし、早朝はちょっと冷え込むと思えば暖房を入れることができます。

そんなの当たり前だろ!

と読んでいる方は思われるかもしれませんが、昔の車両は車掌の判断で早朝は暖房を入れて日中は冷房を入れるという、同じ日の同じ編成で冷暖房を使い分けるということができませんでした。

 

私が車掌をしていた1983年当時はまだ非冷房車が残っている時代で、順次冷房化改造を行うか、または廃車して代替で新車を入れることで冷房化率を上げていっていた時代でした。

新製時から冷房装置を搭載している車両のごく一部は問題なく、好きな時に冷暖房を使い分けることができました。

ところが大半の新製時から冷房装置を積んだ車両と冷房化改造によってクーラーが使えるようになった車両は、冷房または暖房のどちらかしか使えない構造だったのです。

あまり詳しくはないのですが、おそらくMGからの電源供給の関係かな?

車両床下に冷暖房の切替用の箱があり、ヒューズを冷房用または暖房用のどちらかの回路に差し込むことで使用できる空調を決めていたという方式。

ちなみにこのヒューズの長さは40~50cmくらいある大きなものです。

このヒューズの入れ替えは車両課の方で本社からの指示によって行っており、乗務員サイドには何の決定権もありません。

なので急に寒くなる今の時期には全く対応できておらず、寒いという苦情をもらうこともしばしばありました。

 

車両課によるヒューズの入れ替え作業が始まると乗務区に

「〇月〇日から暖房の切り替え作業が始まります、切り替え作業を終えた車両から順次暖房使用を許可します」

みたいな掲示が出されるのが晩秋の風物詩?になっていました。

でも不思議なことに初夏には冷房切替に関する掲示なんてものは出されていなかったし、すべての編成で冷房が使える状態になったとしても、しばらくの間は冷房使用禁止のお達しが出ることの方が多かったような。

 

車掌として乗務していた10月の末頃、かなり冷え込んだ夜でしたが暖房の切り替え作業ができていない編成を担当していた時、帰宅途中の本社勤務の人にボロカスに言われたことがあります。

「お客さんがみんな凍えているだろ!すぐに暖房を入れろ!」

「こっちに文句を言う前に、さっさと暖房が使用できる状態にしてから言ってくれ!」

と若気の至りで車内で言い返したことも今となっては良い思い出?です。

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