2019年トラック衝突事故の京急運転士は起訴猶予

2019年に起きた京急の快特とトラックとの衝突事故。

京急の運転士を警察が検察へ書類送検した際には「厳重処分」の意見が付けられていました。

「厳重処分」という意見が付けられたということは、警察としては運転士の過失の度合いが大きく、起訴して裁判にかけるのが妥当だというあらわれです。

警察として捜査したが京急の各装置に不備は無く(京急の安全設備は基準に違反している点はなく信号も正常動作していたことを確認)、あくまで運転士の過失によって事故が起きたと判断したのでしょう。

 

私もこれまでに何度かこの事故のことについて書いていますが、運転士が何の感情も持たずに機械的に業務をこなしていれば事故は起きなかった可能性が高いです。

特殊信号発光機(以下 特発)が点滅した瞬間に即非常ブレーキを入れれば、確かに事故は防げたかもしれません。

でも運転士を経験した者から言わせれば、特発が明滅する頻度ってかなり高く、そのたびに非常ブレーキを入れていたらダイヤはガタガタになるわ、非常ブレーキを入れることで車内の旅客への被害(転倒などによる負傷など)も考えられるわで、どうしても一瞬考えますよ。

また特発が一瞬光るだけということも時々あります。

踏切を渡り遅れた人に障検が一瞬だけ反応したとか、通行人が踏切の遮断棹(遮断棒)をふざけて押したために障検が一瞬動作したとか、車の後部が踏切内に残り、遮断桿が降りてきて車体に当たって慌てて移動させたことで一瞬だけ特発が光るとか、いろいろなケースが実際にあります。

様々なケースでの特発が一瞬とか数秒間だけ光る状態を体験してきたから、特発が明滅しても数秒間ブレーキを入れなかったり、常用全制動を入れて様子を見てから非常ブレーキを入れたのだと思いますからね。

 

起訴猶予となったことで京急の運転士は罪に問われることはなくなりました。

それは良かったとは思いますが、2019年9月5日に発生してから2年半もの間、起訴されて裁判にかけられるかもしれないという不安と戦ったことを考えると、本当に心身ともに大変だっただろうと思います。

逆に言えば、運転士は常に罪を問われることになる可能性が高い職種だとも言えます。

実際に自殺による人身事故なのに、ここ十数年ほどで警察は運転士のブレーキ遅れを指摘するケースが多いようで、私が在職中にも何人かの運転士に対して、ブレーキの掛け遅れがなければ助かった可能性があると、警察署での事情聴取で言われていましたから。

※こういう言い方をするのは特定の警察署ですけど

 

特発に関しては運転士の感情がどうしても入ってしまいます。

私が当該列車を運転していても、非常ブレーキの投入を躊躇したと思います。

ATSのトラブルで非常ブレーキが勝手に入ったのに、車内の女性旅客が転倒して脱臼した際には、私は何度も会社による事情聴取を受けて嫌な目に遭っていますから、どうしても非常ブレーキの投入は躊躇しがちでしたから。

人が飛び込んできたとか、目の前で自動車やトラックが入ってきたのならばすぐに非常ブレーキは入れられるけど、特発の明滅だけで実際にトラックの侵入を目にしていない段階ではやっぱり難しい。

 

特発とATSとの連動を積極的にすすめるしか、今回の教訓を生かすことはできないと思います。

または、何でもかんでも運転士や車掌への責任追及だけでお茶を濁して、何がなんでも鉄道会社に非はないという方へ持って行こうとする姿勢を正すことができるのか。。。

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