朝夕のラッシュ時間帯に列車の運転本数が多くてなかなか開かない踏切は、都市とその周辺部に本当に数多く存在します。
ひどい踏切になると1時間のうちに40分以上は閉まったままという所もあり、早急な改善が求められるところだけど、解決するには立体交差化以外に現状では手がありません。
信号のシステムを改善すると言った話もちらほら聞きますが、結局は列車の種別ごとに踏切が動作を開始する地点を変更するというもので、駅の近くの踏切ならば駅に停車する列車の場合は踏切の動作を少し遅くする、通過列車の場合は今まで同じという設定になると思いますが、正直なところあまり効果はないような気がします。
だって列車種別と走行速度を組み合わせて踏切動作のタイミングを決定するにしても、通過列車の速度が極端に遅いからと言って踏切動作を遅らせた場合、その通過列車は当該踏切を通過するまで速度を上げられなくなりそうだし。
ずっと先行列車を追い続けてきたけど、待避駅に停車したようで信号が青に変わった。
ここからはフルノッチで通過して遅れを取り戻そうと思うけど、この遅い速度に合わせて踏切が動作するとしたら、ひょっとしたら踏切が閉まった瞬間に通過するギリギリのタイミングとかにならない?とか、くだらないことを考えてしまうのですが。
私が車掌の時ある支線の回送列車に乗務していて、その日の運転士はとにかく飛ばせるだけ飛ばす運転士だったのです。
なかなかノッチを緩めないなと思いながら乗務していたところ、いきなり非常制動が入って停止。
「飛ばしすぎてな、まだ踏切が閉まってなかったんだ。あやうくトラックにぶつかるところだったわ」
踏切が閉まるタイミングはこの支線の最高速度によって計算された位置なのですが、この時運転士は最高速度を超えてはいませんでしたが、回送列車だったために設定された位置では踏切の閉鎖時間が間に合わなかったようでした。
ほとんどの運転士は回送の場合はゆっくり流して運転して、目的の駅で長時間の信号開通待ちを避けていたのですが、この運転士はとにかく飛ばす人でしたからね。
開かずの踏切の件で最も激しく苦情を貰ったのは、管理駅の駅事務室で内勤業務をしていた時のこと。
朝のラッシュ時間のさなかに人身事故が発生して、各列車が団子状態で走ることからほとんど踏切が開かなくなったのです。
すると電話がかかってきて、
「お前のところの駅の隣の踏切が30分以上閉まったままだが把握しているのか!」
電話の主はバス会社の運用担当者、そのバス会社は私が勤務していた鉄道会社の子会社に当たります。
「お前のところのせいでバスが来ないとクレームの嵐だし、運転手が踏切で捕まって戻ってこないから次のバスも運転できないし、どうにかしろ!」
私レベルではどうにもならないから、首席助役か駅長に電話を替わってもらった記憶があります。
暴言を吐かれたのは運転士の時です。
完全に列車が詰まってしまって各閉塞信号機で一旦停止しては次の閉塞信号機まで進むという状況になり、ある踏切の手前で停車したのですが、この踏切は日頃から開かずの踏切なのに車両故障の影響でずっと閉まりっぱなしに。
「ええかげん踏切開けんかったら、車で突っ込んで電車の方が走れん状況にするぞ!」
「タラタラ走らんととっとと行けや!だるい走りをするから次の電車がすぐ来るんとちゃうんか!」
他にもタバコを投げつけてくる男性もいるし、睨みつけてくる女性もいたし。
踏切の手前で止まっておくのが本当に怖かったです。
普段からなかなか開かない踏切が、今日は一切開かなくなってブチ切れた。
運転士に何か言ったところで状況は何も変わらないけど、目の前の電車に腹が立って暴言を吐く気持ちも分かるし。
日頃から開かずの踏切でイライラするだけではなく、渡るために危険な目に遭う人もいるでしょうし、運転本数の多い区間の踏切は何とか解消してもらいたいです、運転士の立場からしても。