通常鉄道車両のドアが勝手に開くことはなく、車掌スイッチを「開」位置にしなければ開きません。
ところがJR北海道のH100形では停車時にホームのある側のドアを開いた時に、ホームの無い側のドアも開いたとのこと。
ワンマン運転なので運転士がホームの無い側のドアを閉め、運転指令に報告している最中にも再び開いたとか。
昔の車両は電磁コイルを使った接点が多く構造も簡単で扱いやすかった。
圧縮空気を使ったドアエンジンで開閉していて、構造は簡単だけど細かい制御には不向きと言えるでしょうね。
今の車両ってドアの開閉にモーターを使っていることが多く、その制御は半導体などを使用したり内部はほぼ〝パソコン化〟しているのでしょうか。
モーターによるドアはスムーズに開閉するイメージがあるのですが、いかんせん今回のような不具合に出くわすと、原因究明に時間がかかるかもしれません。
30年ほどの乗務員生活の間にドアが勝手に開くという事象は何度かありましたが、そのすべてが乗務員のミスによるものでした。
運転士が終点に到着したためにドラムスイッチを「前」から「後」に切り替えた途端に、ホームの無い側のドアが開いたというケースがほとんどでした。
終点に到着して乗務場所を交代する前に車掌はドアの切り替えをしておく必要があるのですが、それを怠って車掌スイッチを「開」のまま乗務場所を交代。
そんな状態になっているなんて思わない運転士はドラムスイッチを「後」から「前」にして運転します。
ドラムスイッチを「前」にした時点でドアの回路は切断されているので、車掌スイッチが「開」の状態でも開きません。
その状態で運転して終点に到着した時、運転士がドラムスイッチを「後」にしたとたんにドアの回路が構成されて、ドアが開いてしまうわけです。
あとは車掌が確認せずにドアを開けてしまうという事故で、今回のJR北海道で起きたような誰も何もしていないのに、ホームの無い側のドアが勝手に開いたというケースに遭遇したことはないですね。
戸閉保安装置が正常に動作しておれば時速5キロ以下にならなければドアは開かないので、走行中に突然ドアが全開になんて怖い事にはならないハズですが。
開いていたドアが勝手に閉まったというケースはありました。
車掌スイッチに触れてもいないのに、駅の出発指示のベルが鳴りだしたとたんに勝手に閉まるというもので、こちらは「電車屋さんだったころの話 Ⅱ」の「乗務していて困った難儀な車両」に詳しく書いています。
興味がある方はぜひお読みください(※ 宣伝です……)
今回の件を記事にしているYahoo!ニュースを読みましたが、タイトルに「再びトラブル」と入っていたので同様の事象が最近あったのかと思ったら、
「H100形では、2月22日に釧路運輸車両所のH100-55が仕業検査切れのまま547.2kmを走行するトラブルが発覚したばかりだった。」
それはJR北海道の管理ミスによるもので、今回の事象とは関係ないのですけど。
トラブルに違いはないけど、同列に並べるって言うのはどうなのかなあ。
まさかこの記事を書いた人は、勝手にドアが開いたこともJR北海道の管理ミスで起きたと分かっていて記事にしたのかな?