パンタグラフが雪に負けて
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パンタグラフが雪に負けて

昨日よく冷え込んだ朝はパンタグラフが上がらない車両があるという文章を書きながら、ちょっと思い出したことがあるのでそれを書いていきます。

 

雪の少ない地域

私が勤務していた会社は関西の鉄道会社で、あまり雪が降るような地域は走ってません。ですので雪に対する設備というのは皆無の状態で、少しの雪でも電車が走らなかったり止まりにくくなったりしていました。今でも状態は同じだと思います。

雪が少しでも積もれば現場は大混乱

もう10年以上前のことですが、滅多に雪など積もらない地域なのに雪が積もり、現場はもう大混乱に陥っていました。
何せ空転の連続でまともに走らないし、制動距離は通常より相当長くとらなければ止まらないという状態ですから、電車を動かすたびに遅れがドンドンひどくなっていく状態でした。
こういう状況の時は乗務員側からも運転指令側からも、列車無線を使った問い合わせや指示が常に飛び交う状態に陥ってしまい、乗務区のモニターで無線を聞いているだけで「すげーことになってる!」っていうのがすぐ分かるのですよ。
中には半分キレながら無線を送信する乗務員もいますので、それを聞いていると笑えてしまうこともありましたしね。(また〇〇がキレて無線で怒鳴ってるとか)

 

列車が起動しません!

雪が強まってきた夕方の少し手前の時間だったと記憶しています。
ちょうど休憩中で乗務区にいた私の耳に、列車無線のモニターからかなり慌てた声で
「〇〇駅停車中の××列車ですが、ノッチを投入しても起動しません!」
止まらないよりは動かないほうが安全に関してはよいことかもしれませんが、運転士にすればかなり焦るのですよ、電車が動かなくなることって。
たまたまその列車の無線は乗務区のある駅に停車中のことだったので、乗務区から助役たちがその列車に向かって走って急行します。

※ここからはその後聞いた話

ブレーキは緩解(かんかい)しているか、そして電気は正常に流れているかを確認します。
ブレーキシリンダーの筒圧は0kpaを指していますが、架線電圧も0Vを指しています。
そこですぐにパンタグラフを目視で確認するものの、完全に降下はしていません。これが曲者で、架線に触れない程度にパンタグラフが降下していたのでした。完全に降下していればパンタ上げスイッチの操作をすぐに行えるものの、フックに引っ掛かっていない中途半端な降下ではどうしようもできません。すると一人の助役が竹ぼうきを片手に列車の屋根によじ登りました。
「パンタグラフに雪があるから降下したようだ!」
そう言うと手に持っていた竹ぼうきでパンタグラフに積もった雪をはらい落とし、パンタグラフを上昇させて架線に触れさせました。架線には直流1500Vが流れており、感電する危険があったのですけどね。

 

パンタグラフはバネの力で上昇していることは昨日お話ししましたが、手で軽く抑える程度で降下させてフックに掛けることができます。
なので少し雪が積もっただけでもパンタが降下してしまう、そんな車両だったのです。
この後も数本の列車で同様にパンタが雪の重みに負けて降下したようですが、そのたびに同じ助役が列車の屋根に上がって処置をしたのでした。

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