お客さんがたくさん乗車したら非常ブレーキが入った・応荷重装置

前回応荷重装置の話を書きましたが、そういえば・・・と思いだした話がありますので、今回はそれを書いていきます。
ただし私が体験した話ではなく、他社で運転士をしていた友人に聞いた話ですが。

 

応荷重装置については前回かんたんに記しましたが、乗車具合によってブレーキ力や加速力を変化させる装置で、運転士の負担軽減につながる装置です。
電磁直通ブレーキの車両の運転台にある圧力計を見るとホントに分かりやすい。
ブレーキ関係の圧力計としては直通管の圧力(SAP)とブレーキシリンダーの圧力(BC)を示すものがあり、一つの圧力計にこれら2つの針(ゲージ)が備わっています。
SAPは黒針でBCは赤針になっていて、ブレーキ操作の時はSAPの圧力を見ます。
SAPはハンドル角度によって示す値が決まるのに対して、BCは応荷重装置によって乗車人員によって変化しますからね。
たとえばSAPが200KPaくらいの時、閑散時だとBCは160~170KPaくらいかな。
とにかくSAPが示す圧力よりBCが示す圧力のほうが低くなってます。
混んでくるとSAPが200KPaだとしても、BCは250KPaとか300KPaという風に乗車人員によって変化します。

 

 

今では通勤路線に変貌しているJRの路線も、昭和の末期ごろはまだまだ非電化の路線がたくさんありました。
関西だとJR宝塚線(福知山線)やJR学研都市線(片町線)がその代表でしょうか。
JR宝塚線には旧型客車が走っていたし、JR学研都市線は長尾駅から先はキハ35がふつうに走っていましたから。

この当時は今とは比べ物にならなくらいに、並行して走る私鉄の混雑ぶりが酷かったです。
電化してるしていないに関係なく、私鉄との乗換駅では国鉄・JRから私鉄へ乗り換えて会社へ向かう人が本当に多かった。
私が運転士になって数年間はこの流れだったのですが、徐々に流れが変わっていき今では逆に流れていますけどね。

 

 

前フリが長くなってしまった。。。

ある私鉄の駅は始発駅でなおかつJRとの乗換駅でもあった。
大阪都心部へ向かう人はみな、この私鉄の始発駅へとJRから流れていました。
またこの路線の途中駅には別の私鉄との接続駅があり、大阪都心部へ向かう人はみなこの私鉄に乗り換えていました。

JRも別の私鉄も沿線の開発がどんどん進んでおり利用客はうなぎ登り。
大阪都心部へと向かう人でこの私鉄の混雑具合は悪化の一途をたどっていた。

別の私鉄との連絡駅で停車中に事件が起こった。
その車両は電磁直通ブレーキで台車は空気バネだったようです。
ブレーキ系の圧力計を見ていると、SAPの黒針は全制動位置で400KPa程度だったけど、BCの赤針はどんどん上昇していき600KPaを超えたそうです。
するといきなり“パシャーン!”という排気音とともに非常制動が入った。
一気にお客さんが流入したために元空気溜めの圧力が著しく低下したのが原因でした。
元空気溜めの圧力は700~800KPaに保たれて、700KPaより低下するとコンプレッサーが作動して圧縮空気が供給されます。
しかし急激なお客さんの流入にコンプレッサーが追い付かず、元空気溜めの圧力が700KPaを下回ったままなので非常制動が入ったらしいです。
特に空気バネの車両は金属バネの車両と違って圧縮空気が必要ですしね。

その友人曰く、一時期は特定の列車ではあったけど毎日のように勝手に非常制動が入る事態が続いたそうです。
今では始発駅でJRから乗り継ぐ人は相当減っていて、途中駅で別の私鉄から乗り継ぐ人も相当減っているとか。
この私鉄に乗り換えずにJRでそのまま大阪都心部へ向かう人が大半になったし、別の私鉄からは友人が勤務する私鉄には乗り換えずに、少し離れたJRの駅へ行き大阪都心部へ抜けるようになったとか。

多客で応荷重装置が働き、元空気溜めの圧力が低下して非常制動が作動するなんて、いまや昔話になったのかもしれません。

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