乗務員室内の落書き
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乗務員室内の落書き

私が運転士から助役になるころには、乗務員室内の落書きを目にすることはほとんどありませんでした。

私よりはるかに年下の運転士や車掌は、私らが若いころとは違ってお行儀もよくて上司らの指示を確実に守るためです。

それに比べて私が若かったころの乗務員室内は、そりゃ落書きがいっぱいありましたよ。

 

 

“○○死ね!”

みたいなのは車両ではなく乗務区のトイレにありましたが、乗務員室内で例えば車掌側の配電盤とか窓のふちには

“ヒーター効かん”

“めっちゃ寒い”

“冷房無いのと大差ない”

“めちゃくちゃ揺れる”

みたいな落書きがいっぱいありました。

そういえばあまりにも揺れがひどい車両の車掌側の配電盤に

“Let’s dancing”

と書いてあったのには笑いましたけどね。

 

実際には書くというよりは忍び錠(車掌キー)の角で削っているほうが多かったかな。

あとは名札の安全ピンを使って彫っているように思えましたが。

全般検査や重要部検査で工場に入ったときに、車両課のほうで塗料を塗ったりシルバーのテープを貼って落書きを消すという感じでしたね。

 

 

運転台への落書きの大半はブレーキに関係するものが大半でした。

“甘い”

“激甘”

”雨天注意”

みたいなものが多かったですね。

ブレーキ弁の周囲にボールペンで書かれていたり、スタフを差し込むところに鉛筆で書かれていたり。

中には圧力計の近くにマスコンキーか忍び錠で削るようにして書かれていることもありました。

 

デスク型の運転台となると書く場所がないからか、乗務員室の側開き戸のガラス窓の渕あたりに、名札の安全ピンを使って彫られているものもありました。

そういえばデスク型運転台に直接傷をつけるようにして書かれたものもありましたね。

 

ATSの感度が良すぎるというか、判定が辛いというか、運転士的には大丈夫と思って通過したらATSが動作するような車両があるのです。

そういう車両には

“ATS注意!”

みたいなことが書かれていましたね。

 

 

”甘い”

といった落書きも、乗車中の旅客の目に触れたら

「この電車は大丈夫なのか?」

「この会社の電車はきちんと整備されていないのか?」

といった疑念を持たれるとかで、とにかく落書きは一律に禁止と昔から言われてはいたのですよ。

でもみんな書いていましたね。

新車が出て1か月もすれば、必ずと言っていいほど落書きされていました。

 

私が助役になったころ、まだ落書きが残っていたのは古い車両ばかり。

新しい車両は本当に落書きなんて無かったのですよ。

だからと言ってブレーキの利きが悪いといった情報をまともに引き継ぐ運転士は皆無でしたから、落書きがあるほうが運転士にすれば助かっていたのかな。

若い世代は交代の際の引継ぎで「異常ありません」しか言わなくなりましたからね。

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