ローカル線 沿線人口が増えても利用者が減る理由
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ローカル線 沿線人口が増えても利用者が減る理由

あくまで個人的な意見

コロナ禍によって都市部での収益までが低下してしまい、ついに地方線区を支え続けることが難しくなってきたJR各社(東海を除く)

特に収支の悪い路線の今後のあり方について、国交省が間に入っての地元自治体とJR側との話し合いがもたれるようになったものの、自治体側は廃線絶対阻止の構えを崩さない態度で臨んでいます。

ところで先日東洋経済に赤字ローカル線の惨状、本当に「人口減」が原因かという記事が発表され、沿線人口は微増だとしても利用者数が減っている例もあるとの内容でした。

たしかに沿線人口が増えている地域もあるでしょうが、それだけで鉄道利用者が果たして増えていくものなのでしょうか。

 

 

駅までの足が無ければ鉄道は利用しない

沿線人口と一口に言っても、路線が通る町域すべての人が鉄道を利用しやすいわけではない。

住んでいる家と駅が近ければ鉄道を利用しようと思いますが、駅まで車で15分とか20分もかかるような方は、わざわざ駅まで車で出て鉄道は利用しません。

家から目的地まで車で移動しますよ。

また目的地が駅の近くであればまだ鉄道を利用するかもしれませんが、目的地もまた駅から遠いとなれば鉄道を利用する意味がありません。

 

都市部では家から駅まで、そして駅から目的地までが多少距離があっても鉄道を利用しますが、それは〝足〟があるからです。

そして都市部の場合は渋滞する可能性が高いから、自動車よりも鉄道を利用する方が便利だということもあります。

バスで駅まで出たり、家族に車で駅まで送ってもらったりといった、足が確保されていたら家から駅までが多少遠くても鉄道を利用するでしょう。

学生だったり社会人でも若い方ならば、自転車で駅までやってくるということも普通のことですが、お年を召した方が自転車で駅までやってきて、鉄道を利用するという方は少ないと思います。

お年を召した方もご自身で自動車を運転しますよね。

だとすると目的地まで自動車で移動する方が絶対に楽なのですから、わざわざ鉄道を利用する方はどうしても少なくなってしまう。

 

沿線人口が増えて、その増えた方々がみんなが駅の近くに住んでおれば鉄道を利用するかもしれません。

でも駅の近くよりショッピングセンターや病院など、日常生活で便利な場所の近くに住む方の方が多いのではないのかな。

そしてそういった場所は今は駅の周りではなく、旧市街地からは離れたバイパス沿いというケースが普通になっていると思うのです。

旧市街地は駅を中心とした街づくりを行っているでしょう。

でも新しい市街地は鉄道沿いではなく、バイパスなど新しい道路沿いに作られることが多いのです。

 

 

小手先の利用促進策だけでは利用する人は増加しない

兵庫と岡山を走っている姫新線という路線があります。

姫路と新見を結ぶ路線ですが、兵庫県、姫路市、たつの市、佐用町が事業費の一部を負担して姫路~上月間のホームのかさ上げ、軌道改良、安全側線の整備、列車集中制御装置(CTC)整備、国鉄型のキハ40系から キハ127系への置き換えなどを行った。

これらの事業で所要時間の短縮が図られ、さらに運転本数の増加を試験的に行った。

1991年には299万人の利用者があったが、2009年には238万人にまで減少していた利用者がこれらの政策によって2013年には295万にまで回復しています。

もちろんこれらの政策だけで利用者が増えるはずがなく、沿線市町によって駅舎や駅前広場の整備、駅周辺に駐車場や駐輪場を整備したり、本竜野駅周辺では区画整理事業も行われた。

本竜野駅周辺では駅近の宅地や一戸建てが多数分譲され、姫路駅までのフットワークの良さから神戸・大阪方面へ通勤する人も多くなっている。

ちなみに鉄道関連の整備費として自治体が支出した金額は、2006年度から2009年度で79億円に達しており、そのほかにも駅舎や駅前広場の整理、駐車場や駐輪場の整備、区画整理事業にはさらに支出しており、行政が駅を中心とした街づくりを行った結果、姫新線の利用者水準がV字回復したのでしょう。

ちなみに姫路市・たつの市・佐用町の人口は2005年には638000人、2013年には633000人と微減。

【鉄道事業】 JR姫新線輸送改善事業

※3市町ともその後も人口の減少は止まっていない

新しい住民を呼び込むことには成功しているようですが、それでも全体でみると人口は減少し続けており、今後さらなる政策によって姫新線の維持を考えていかなければならないでしょう。

 

姫新線の場合は兵庫県第二の都市である姫路市と周辺市町を結んでいることから、神戸や大阪方面への鉄道でのアクセスが良好なことと、自治体が思い切った税金の投入をしたことが奏功したわけです。

では現在存廃問題に揺れる他の路線ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。

乗車券・定期券代の補助のほか、マイレール運動やイベントの開催など、言い方は悪いですが小手先の利用促進策しか行っていないのではないでしょうか。

もちろん路線の起終点ともに人口があまり多くはない市町村を結んでいるケースでは、姫新線と同じ方法で利用者を呼び起こすことは難しい。

でも根本的な対応を自治体が行わない状態で、いくら廃線はダメと叫んだところであまり意味はないのではないでしょうか。

 

 

町の中心部が駅から遠く離れてしまった

人々が集まる場所ってお店や銀行、郵便局、役場などが集まる町の中心部ですよね。

昔は各市町村ともに駅がその町の玄関口であり中心部でした。

ところが大きなショッピングンセンターのほか外食チェーン店や家電量販店などは駅前ではなく、ロードサイドに建ち並ぶことが普通です。

それも旧道ではなく新しく開通した道路・バイパス沿いが普通です。

市町村によってはショッピングセンター内に役場の出張所を設けることも多く、銀行や郵便局のATMもショッピングセンター内に設置されることが普通です。

そういった場所へ出かけるには、よほど近くではない限り自動車を利用します。

運転ができない人はタクシーやバスも利用するでしょうし、市町村によっては無料または安価で利用できるコミュニティバスを運行しているケースもあります。

またコンビニも往来の多い場所に出店するのは当然のことですから、新しい道路沿いに店を構えるのが当然です。

コンビニにはATMもあるし、住民票等も取得できます。

 

さぁ、今のこの状態で鉄道利用以外で駅へやってくる人がいますか?

普段の買い物等でも自動車を利用する人が多いのに、わざわざ〝町はずれ〟の駅へやってきて鉄道を利用しますか?

もちろん学生は駅まで少々遠くても自転車で駅までやってきて鉄道を利用するでしょう。

学校へ行くのに足がないのですから。

でも中には鉄道の運転本数が少なく、利用したい時間帯に無いから鉄道利用をあきらめて、自転車で直接学校へ行ったり、家族の方に自動車で学校まで送り迎えをしてもらっている方も多いことでしょう。

よく通学の足として鉄道を残してほしいといった意見が新聞の紙面を賑わせますが、それって消極的意見ではないでしょうか。

今は鉄道以外に学校まで足が無いから、何とか鉄道を残してほしい。

もしも学校方面へ向かうバスが住宅地の周りではきめ細かく止まってくれて、登校時間にもちょうどよい時間帯だったらそちらも検討するのではないでしょうか?

特に駅までは遠い学生なんて、家の近くをバスを走ってくれておればそちらを選択しませんか?

バスならばショッピングセンターにも寄ってくれるだろうから、学校帰りも鉄道利用より便利になる気がするのですが。

町外れになってしまった鉄道の駅より、町の中心部になったショッピングセンター周辺のほうがやはり便利です。

そうなるように行政が町づくりを進めた結果、駅・鉄道が非常に利用しづらくなったことも見逃せないと思います。

 

 

鉄道会社もあまりにもひどいけども

本来は駅舎などは鉄道会社が改修を行うべきものです。

それを自治体側が税金を投入してどうにかしなければ、鉄道会社は放置したまま。

これはさすがに鉄道会社の怠慢です。

トイレを昔のまま放置していたり閉鎖するケースまで出てきましたが、もちろん収益を生まないどころか経費ばかりかかる設備であることは分かります。

しかしトイレくらいは利用しやすい状態にすべきではないでしょうか。

もちろん改札外にあって公共トイレ的な性格の場合は、自治体と相談して経費の案分を考えるべきですが。

 

地方では鉄道は交通弱者が利用することが多く、学校や病院へ向かう際に便利なダイヤというものがあるはずですが、運転本数を削減しまくり、とてもではないけど利用価値のないダイヤを商品として押し付ける鉄道会社も問題です。

幹線など主要な路線との乗り継ぎを考慮しているとも思えないダイヤがローカル線には多く、とてもではないけど使えないダイヤとして、まるで利用者をとことん減少させて廃線となるように画策しているのではと思えるほど。

本当にひどい設備とダイヤを商品として平然と提供する鉄道会社も、現状のローカル線問題の片棒を担いでいるとしか思えません。

 

もしも本気でローカル線を再生しようと思ったら、線路を付け替えて〝町の中心部〟を通るようにして、駅はショッピングセンターなど町で最も賑わっている場所に設けるくらいしか手はないでしょう。

さらにLRTとするなどバリアフリー化も積極的に進める。

それだけの体力と財力があればローカル線は維持できるかもしれませんが、現実的ではありません。

地域の足として考えるのならば鉄道に固執する必要はなく、BRTによってそれに近いことができるのではないか。

今のようなひどい設備とダイヤを押し付けてくる鉄道会社に対して、今ならば自治体側から提案すればかなり有利な条件で実施できると思うのですが、

バス化(BRT化)に伴う費用は全額鉄道会社持ちとするとか、運転本数を最低でも1時間に2~3本とするとか、向こう〇十年の間は何があっても廃止にしないといった条件を突き付けられると思いますよ。

 

沿線の市町村の人口が減ってはおらず横ばいや微増だとしても、いまの町の中心部が駅から遠く離れていることや、駅までの足を確保するくらいならばそのまま車で目的地へ行く人が多いのが現状。

だから鉄道はもう見切りをつけて、住民にとって利用しやすい公共交通機関の確保を自治体は考えていくべきだし、そのことを考えるのに今が最も適しているとも思えるのです。

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