信号待ちです・・・

今日もトイレのネタです

私が車掌をしていたのは20代前半のころですから、もう35年ちかく前になります。
今でも忘れられない一件について書いてみます。
昨日に引き続いてトイレのネタなのですけど。

 

今でも私鉄の多くは運転士と車掌は同じ行路で仕事をします。
出勤してから退勤するまで、1日完全にペアになって仕事をします。
私が所属していた会社の乗務区では1週間同じペアで仕事をしていましたし、会社によっては毎日同じペアで仕事をする仕業表を組んでいるところもあったようですね。

 

お昼過ぎに出勤してペアとなる運転士さんと一緒に乗務します。
1度休憩してその日2度目の乗務の前でした。
「ちょっとお腹の調子が悪いんだ」
なんて言ってきた運転士。
その人とはよく一緒に乗務していたのですが、お腹の調子が悪いだなんてあまり聞いたことはありませんでした。
それでも時間になれば仕方なく、乗務するためにホームへ向かいます。

運転士がお腹の調子が悪いと言っていたことなんてすっかり忘れて、ふつうに車掌の業務をしていた私。
乗務を開始して20分ほどしたころにインターホンが鳴りました。
「やっぱりお腹の調子が悪いから、どこかの駅で走ってくるよ」
「はい、了解しました」

 

このやり取りの後、私はいつ運転士が走ってトイレへ駈け込むのかばかり考えながら乗務することに。
あそこの駅かな、それともどこの駅かなって具合に。
ちなみにこの時担当していた列車は途中駅まで急行運転、途中駅から各停に変わる列車で、緩急接続で長い時間の停車がありません。

 

インターホンで聞いてから10分少し経った駅に停車した時のことでした。
その駅は橋上駅舎で階段が先頭車両の真横に設置されていました。
ホームを見るとお客さんよりも先に、そして俊足で階段を駆け上がっていく運転士の姿をとらえました。

 

 

さてしばらくは電車は動きません。
だって運転士はトイレへこもりに行ったのですから。
ドアを閉めるわけにもいきませんしね。
そこで私は
「信号待ちです、発車までしばらくお待ちください。」
と車内へ放送しました。

 

今の時代ならば、運転士が階段を駆け上がっていく様子を撮られてSNSにアップされるでしょうね。
スマホなんてまだない時代ですし、携帯電話とは呼べないような大きなショルダーフォンしか無かった時代です。
なので
「信号待ちです」
の放送でほとんどの出来事に対応できていました。
それに文句を言われたり、苦情が本社へ上がっていくということもあまりなかった時代です。

 

数分経って運転士が戻ってきて、こちらへベル合図を送ってきます。
それで私はドアを閉めて出発合図を送ります。
「長らくお待たせしました、次は・・・」
と放送し何事もなかったかのように電車は運転を再開します。

 

今ならば少し長めに停車しただけで運転指令から
「何かありましたか?」
と無線が飛んでくるのですが、この時は4分ほど遅れたのですが何の無線も入らず。
当日も後日も苦情や問い合わせもまったくありませんでした。

 

 

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