乗務員は自然相手に仕事をしていますが
車掌や運転士をしていると、雨や雪をはじめ風など自然をもろに体感しながら仕事をしています。
車掌ならばドアを閉めるときや出発監視のために顔を出していれば、雨の日は顔に雨粒が容赦なく叩き付けられますし、風が強ければ顔に小さなごみが当たったり目にホコリが飛び込んできたりもします。
運転士は雨や雪ならば空転や滑走と戦いながら電車を走らせますし、風が強ければ車体が持ち上がるような恐怖に直面することもあります。
ところが運転指令は出勤して退勤するまでを指令室内で過ごすことが多く、外の様子をうかがい知ることなく仕事をすることが多いのです。
駅でも大きなターミナル駅でビル内にずっといれば、同じように外の様子が分からなくなるといいます。
雨が降っていれば電車が全体的に遅れ気味になるのですが、運行表示板に示される遅れの時間を見て雨かなと指令員は思うものです。
ビル内の駅の場合は、傘の忘れ物の届出が多くなると雨なのかなと思うそうですが。
近年多い集中豪雨
運転指令には気象台より注意報や警報の発令がFAXで知らされています。
(今はFAXなんて使わないのかな)
なので運転指令が管轄する広い範囲に対する気象情報は得られるようになっています。
でも近年は梅雨時でも集中豪雨のような、ある狭い範囲にだけ大雨が降るケースがかなり多くなっています。
こういった集中豪雨的な雨に関しては運転指令ではなかなか情報が上がってこないのです。
その狭いエリアの集中豪雨の場所で電車を担当していると、空転や滑走による走らない止まらないといった事態より、前方の視界が悪すぎて徐行せざるを得なくなります。
徐行というものは通常時は運転指令からの指示で行うものですが、運転士が危険だと判断すれば自主的に徐行を行います。
すると1~2本の電車だけが相当の遅れを出すことになって、運転指令からは
「相当遅れているようですが、何かありましたか?」
なんてちょっと呑気そうに尋ねられるのです。
(こっちは必死で運転しているから、運転指令からの声が呑気そうに聞こえちゃうのかもしれません)
「大雨で視界が悪いため徐行運転を行っています」
と答えると必ず運転指令からは
「何m先まで視界はありますか?」
って聞かれるわけで、正確に答えるのが面倒だから
「ほとんどありありません」
と答えるわけです。
ほとんど視界が無ければ電車を動かすべきではないのですが
「では気をつけて運転してください」
運行表示板に点灯する列車番号と遅れ時分しか分からない運転指令ですから、本当は警報の時以上の大雨であっても呑気な感じの指令になっちゃうのかなと思いますね。