踏切内に取り残される車いす

電動車いす、踏切事故急増=全国で高齢者5人死亡―製品機構が注意喚起方針という記事がYahoo!ニュースにありました(2018.11.11)

電動車いすが踏切内で立ち往生し、高齢者が電車にはねられ死亡する事故が急増しているという記事です。

電動でも手動でも言えることなのですが、車いすの車輪が小さい場合には踏切内の溝にはまりやすく、はまってしまうと車いすから降りて押すなどしないと脱出も難しい。

でも車いすを利用している人が、車いすから降りて自ら押すなんてできるはずもない。

これは車いすだけではなくベビーカーでも起こりうることで、子供が小さいころにベビーカーに乗せて押していたところ前輪が踏切の溝にはまってしまい、慌てた私の妻はベビーカーを持ち上げることができず、その間に踏切が閉まりだしてパニックになったと言ってましたから。

ならば踏切内の溝を無くせばよいのですが、鉄道車両の車輪にはフランジというものがあり、踏切に溝がないと走行自体が不可能になるのです。

直線の踏切でも5㎝程度、曲線部分の踏切の溝はさらに広い幅が必要とされています。

現状では今より溝の幅を狭めるのは技術的に難しいのかもしれません。

 

となると踏切内での列車との衝突を避けるためには、非常通報装置の設置と踏切障害物検知装置(障検)を自動車以外でも動作するようにするほか方法はありません。

でも非常通報装置は踏切の外側に設置されるもので、通行人がいれば躊躇なく押下することで事故を避けられますが、通行人がいない場合には車いすから降りて自分で押すことになりますが、それはかなり無茶な話です。

となると障検に頼ることになりますが、踏切内で立ち往生した自動車を検知するのが主目的になっています。

 

 

一般的にはレーザー光などを用いる光センサー式が採用されており、踏切が閉まった時点では左の絵の赤線のようにレーザー光を照射して立ち往生した自動車を検知します。

このレーザー光を遮るような位置にあれば車いすでも検知はできますが、御覧のようにレーザー光が飛んでいない部分のほうがはるかに多いのです。

そして列車が接近してくると右の絵のように、踏切のレール部分以外のレーザー光だけを照射します。

こうしないと走行中の列車を検知してしまいますから。

 

線による検知から踏切の面全体を検知する三次元レーザレーダ式という障検も一部で導入されています。

面全体を検知しますから、踏切内に取り残された車いすや歩行者でも検知することができるのですが導入価格が高いことがネックに。

さらに朝のラッシュ時間帯のいわゆる“開かずの踏切”では、踏切が開いた瞬間に大量の通行人が押し寄せて踏切の遮断棹が下りるまでに全員が渡ることができず、そのたび検知してしまいダイヤが乱れる原因にもなってしまいます。

私が勤務していた会社でも試験的に三次元レーザレーダ式の障検が導入されましたが、あまりにも感度が良すぎて頻繁に検知することが逆にあだとなって、本格導入が見送られたりもしました。

 

運転士をしている立場からすると、頻繁に障検が動作してそのたびに緊急停止しなければならないのは正直面倒です。

列車を止めて、踏切の安全を確認して、運転指令に報告して・・・という作業が基本となるのですが短くても数分、場合によっては相当な時間の遅延が発生します。

またラッシュ時に緊急停止するって、お客さんが将棋倒しになる危険もあってかなり怖いものでもあります。

しかし通行する人の安全を考えれば三次元レーザレーダ式の障検の導入もやむなしですから、特に朝のラッシュ時間帯は障検が動作するような無理な横断はやめてください、としか言えないですね。

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