はじめての一人での乗務(車掌)

私が車掌になったのは昭和58年の夏前でしたから、もう37年も昔のことになります。
私が勤務していた会社では、車掌の見習は学科が約1ヶ月間あり、その後に指導車掌(師匠)が担当する列車に乗せてもらう形で約1ヶ月間の実習があります。
実習期間の最後のほうになると本務試験があり、これも営業車で行われます。
車掌の本務試験は社内でのチェックであって国家資格といった類のものではありません。車掌はあくまで社内での任命だけでなれるのです。
試験をクリアし
(車掌の本務試験で落ちる人は過去にいないハズです)
配属される乗務区ごとの決まりやお願い事などの机上教育が終われば、車掌として一人で乗務します。
私が所属していた乗務区では単独乗務とか本務者といった言い方がされていましたが、JRなどでは独車といった言い方をするようですね。

 

 

はじめての一人での乗務は各駅停車でした。
ホームで担当列車が到着するのを待つ間が最も緊張しました。
ホントに足が震えていましたからね。
列車が到着してここまで担当してきた車掌と交代します。
「今日から一人やろ?まぁ緊張せんと気楽に乗ってきいや」
私より少し年上の先輩車掌に引継ぎの際にこのように声を掛けられて、ちょっとホッとしたようなほんの少しだけ緊張感が抜けていきました。

マイクを持ってもあまり緊張もせず、自分ではキチンと放送できたつもりでしたが、実際に私の初めての放送を聞いた旅客はどう感じたのでしょうかね。
出発時間を確認してホーム上の出発反応標識の点灯を待つ。

※信号機が車掌から確認できない場合にホーム上に設置する標識。レピーターとか反応灯などと呼ぶ。

出発反応標識の点灯を指差確認・喚呼して、乗降が終わったことをまた指差確認・喚呼。
そして車掌スイッチを引っ張り下げてドアを閉める。
車側灯の消灯を指差確認・喚呼して・・・
ベルで出発合図を運転士に送るのですが、怖くてちょっと躊躇してしまう。
ホントに大丈夫?
何も挟まってないよな?
こわごわ出発合図のベルを送った後は、すぐに電車を止められるように車掌弁の引き紐を手を伸ばして握っていました。

※電気的な接続または切断で動作する非常ブレーキスイッチが備わっていなくて、制動管を直接排気して非常制動を動作させる車掌弁しかなかった古い車両でした。

 

 

停車中の車内への放送はほとんど緊張なんてしなかったのですが、出発後の次駅の放送はメチャクチャ緊張しました。
この時点で汗びっしょりでしたし、頭の中ではあれこれ考えまくって、これしたかな?あれはしたかな?って感じで一人乗務員室の中でパニクってました。
まぁ平日の昼下がりの各駅停車ですからガラガラでしたし慌てる必要なんてないのだけど、車掌として初めての一人での乗務でしたからねぇ。
2時間ほどの乗務を終えて休憩所に戻ってきたときには、汗をすべて出し切ってカラカラな状態でしたよ。
その日の乗組みの運転士に冷えた缶コーラを買ってもらい、ゲップしながら一気に飲み干したのも今となってはいい思い出です。

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