赤字ローカル線の維持もバス化も難しい時代
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赤字ローカル線の維持もバス化も難しい時代

あくまで個人的な意見

さまざまなメディアが赤字ローカル線の問題を取り上げていますが、個人のブログなどの多くは廃止やむなしと言う見解が多く、定期的にネット上に記事を出している媒体の多くは赤字ローカル線擁護論が多くなっています。

私も現状では廃止やむなしの立場ではありますが、本当にローカル線を維持できる妙案があり実行できるのであれば、廃止する必要はないと思うし存続を願っています。

ただしこのところよく目にする記事の内容では、残念ながら赤字ローカル線の存続は無理だろうなと思うものばかり。

それに加えて簡単にバス化するのも難しいという時代に入ってきています。

 

 

上場会社と非上場会社

今のJRは東日本・東海・西日本・九州は上場民間会社、そして北海道・四国・貨物は実質的に国(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 略称・JRTT)が保有した状態が続く会社に分類できます。

JR東日本・東海・西日本・九州は上場会社ですから、株主の意向に背いて事業を行うことはできません。

一般的に株主は投資する見返りにリターン、つまり配当を得ることが目的ですから、あまりにも赤字を抱える事業があれば改善要求することは当然のことです。

ただし民間会社とは言え鉄道は公益事業ですから、赤字即撤退という構図を描くことはできません。

赤字額が増え続けその解消が見込まれないといった理由がなければ、通常は撤退しないでしょう。

たとえば、赤字が3年続いた路線・区間は撤退しますとなれば、ローカル線どころか幹線であってもあちこちで寸断された路線図になることは容易に想像ができます。

ただしJR東海だけは東海道新幹線という収益源があるため、今のところ地方ローカル線は安泰のようです。

 

ではJR北海道と四国はというと、冒頭に書いたように実質的に国が保有している状態です。

厳密にいえば独立行政法人のJRTTが全株式を保有しており、民間会社とは呼べない状態だということです。

北海道や四国は多くの路線が赤字であり、一部の都市周辺を除いて全体的に過疎化が進行している状態なのに加え、高速道路や高規格道路の整備もあって現状ではほぼ太刀打ちが難しい状況。

このためにあまりにも利用者が少なく、鉄道の機能である大量輸送に特化した事業がすでに破綻状態の路線・区間について存廃が協議されつつある状態です。

 

上場会社のうちJR東海だけは東海道新幹線の莫大な収益によって、地方ローカル線を支えるだけの十分な財力がありますが、その他のJR各社は他の路線の収益で地方ローカル線を支えるだけの力を失ってきており、いま存廃問題が語られている路線以外でも今後は予断を許さない状況。

非上場会社の北海道と四国はごく一部の路線・区間以外はかなり厳しい状況であり、すでに自力での路線維持が相当難しい状態に陥っているように思えます。

 

JR北海道の営業赤字はJR東日本の営業利益の10%強なのだから、JR東日本の利益の一部をJR北海道の支援に充当できる仕組みがあれば救われるといった記事も見ましたが、それならばなぜJR東日本管内でも赤字ローカル線の存廃問題が俎上に上がるのか?

他社の路線を救って自社のローカル線を切り捨てるなんてことは、どう考えてもしないしおかしいと思うのですが。

 

 

国鉄のままだったらどうなっていたのか

国鉄は超赤字体質だったために解体されて、細分化されてJRという会社に移行されました。

実際には赤字だけの問題ではなく、労組の問題など様々な要因が絡み合っていたために解体されたのでしょうし、そもそも政治家が不必要な路線を我田引鉄によってどんどん線路を敷かせた、それもすでに赤字が叫ばれ一部の路線が廃止される中で新たな路線を敷いたことで、赤字がさらに膨らんだなど国の責任も相当大きかったですし。

 

今でも民営化されずに国鉄のまま存続していたら、今のローカル線問題はどうなっていたのでしょうか。

もちろん今のJR各社と同じ水準のまま国鉄として残った場合ですが。

 

国鉄とは政府が100%出資する独立採算制の特殊法人で三公社五現業、今風に言えば独立行政法人というのが実態に近いでしょうか。

国鉄として残った場合でも赤字ローカル線については課題として挙げられるでしょうし、今と同じように存廃問題に揺れているとは思います。

ただし新幹線や首都圏の大きな利益があちこちの路線にも分配されることになり、今とは様相が違っていたのかなと思います。

たとえばJR東海管内のローカル線が存廃問題で俎上に上がっていることも考えられるし、逆に幹線の一部区間などは問題視しないとして存廃問題が語られないかもしれません。

それだけではなく、新幹線開通後の並行在来線の扱いも変わっているでしょうし、今とはまったく違う状態になっていたのだろうと思います。

ただし今現在俎上に上がっているローカル線の存廃問題については、おそらく問題提起の時期が前後していただけで、ほぼ同じ路線が対象になっていただろうと思います。

国鉄時代に並行して走る道路が未整備とか、冬季は並行して走る道路の使用が困難などの理由で廃止対象から外された路線も今ならば存廃問題が語られるでしょうから、結果的に同じような路線の存廃問題が語られるのだろうと思います。

 

 

バスもトラックも鉄道も運転できる人がいない

私もよく軽々しく鉄道を廃止してバス化やBRT化すれば良いと書いてはいるのですが、現実にはそう簡単に解決できない状態になっています。

バスの運転手がまったく足りない状況になっており、既存の路線バスも運転手が足りない影響から一部の路線の減便や運休を行う事態になっています。

今バスの運転を支えているのはベテランのドライバーが多く、新規で運転手になろうとする人が減っています。

警察庁の運転免許統計によると大型二種免許の保有者数は

年度 大型二種免許保有者数 1年間の純減数 トータル純減数
平成30年 896127人
令和元年 871492人 -24635人
令和2年 847769人 -23723人
令和3年 824732人 -23037人
令和4年 802143人 -22589人 -93984人

このように右肩下がりでどんどん減っています。

もちろん新規で取得された方もおられるのですが、免許を返納するなどトータルで見ると毎年2万人ずつ減っており、4年間で9万人もの大型二種免許保有者が減っています。

昔は都市部の公営バスの運転手は高給取りだったのですが、世間からの風当たりが強くてどんどん給料が減らされていき、今では普通の会社員よりかなり低い年収に抑えられています。

地方のバス会社となるととてもではないが平均的サラリーマン並みの給与を支払うことができず、バス運転手が集まりにくい状態になっています。

 

もしも赤字ローカル線を廃止してバスに転換した時に、既存の地方バス会社以上の給料を出さなければまず運転手は集まらない。

運営は既存のバス会社に委託する形になるとは思いますが、バス転換しても多額の補助金を出さなければ運営していけませんし、そもそもどうやって新規のバス運転手を集めるのかという問題も浮上してきます。

バスではなく普通免許で運転できるワゴン車で9人以下を運ぶ、二種免許ではなく一種免許で運転できる自家用有償旅客運送を活用するなど、難問をクリアしないと鉄道路線のバス化も難しいのかもしれません。

 

また地方を中心に鉄道の運転士不足も露呈しています。

すでに甲種動力車免許を所持している人を募集しても、駅員として入社して会社で運転士の養成を行うという募集をしても人が集まらないのです。

首都圏や大阪圏など都市を志向する若い人が多いことがもっとも大きな要因ですが、汗をかきながら働くわりに神経を使う鉄道現業職なのにかなりの薄給であること。

またホワイトカラーを志望する人が多いために、鉄道運転士の絶対数が足りてはいないのが現状です。

このためバスと同じく鉄道運転士も、地方では定年後の再雇用で働く超ベテラン運転士が多くなっています。

 

 

公共の名のもとに赤字を垂れ流しても良いのか

地方ローカル線の存廃問題に関する記事を読んでいると、必ず出てくるのが地方の足の確保です。

公共交通が必要であるということに異論なんてなく、当然必要だと思います。

ただしそれが鉄道でなければならないという理論には反対します。

もちろん国や自治体などの補助があればなんとか収支均衡に持っていける、そのような鉄道であれば残すべきだと思います。

ただ鉄道は設備の設置や補修等に一定の金額が必要で、それは道路上を走る自動車交通に比べて相当高いものです。

車両も自動車交通のように汎用性のあるものではなく、車両本体価格も維持費用も自動車よりかかります。

それだけの多額の費用を補助金と運賃収入で賄うとすれば、一定の旅客数がなければとてもペイはできません。

 

ある記事に

鉄道維持のために上下分離ではなく

「上=列車運行(鉄道事業者)、中=車両保有(地方自治体)、下=鉄道施設保有(国)」

という上中下分離スキームを取り入れるべきというものがありました。

地方ローカル線で車両保有数が少なければ、自治体が受け持つ車両保有にかかわる費用はたしかに安くはなります。

おおむね車両1両あたりの年間費用は600~1000万円程度(新幹線は倍以上)ですから、たしかに自治体の費用負担は相当低くなりますが、それって自治体は金は出さないから鉄道事業者と国で何とかしろ、でも口はおもいっきり出すと言っているわけですが、そんな理屈が通りますか?

自治体が全て負担しろとは思わないですが、せめて鉄道事業者・国・自治体で1/3ずつ負担が落としどころになると思います。

そもそも鉄道事業者側はもう存続は無理だと言っているわけで、その路線を何としても維持させるとなれば自治体は相応の負担が必要なはずです。

鉄道事業者は一部の公営鉄道などを除き民間会社です。

もしも公共的思考が足りないと言うのであれば、それは自治体側に言うべきことです。

その自治体の住民の足を確保する必要があると判断するのであれば、まず自治体が汗をかいてから鉄道事業者や国にお願いするというのが順番だと思います。

 

公共的思考が欠けていると言うのであれば、例えば町や村に唯一あったガソリンスタンドが撤退する時、そのガソリンスタンドを運営していた会社に、費用のごく一部だけ面倒を見るので残れと泣きつくのでしょうか。

また同じように唯一のスーパーマーケットが赤字が続くので撤退したいと表明した時、店舗にかかる税金と光熱費は面倒を見ますから、あとは店側で何とか負担して残してくださいだなんて言っているのでしょうか。

今赤字ローカル線の存廃問題に揺れる自治体では、上記のようなことを鉄道事業者に要求していますよね。

建物を無償で譲り受けて町や村等が運営を続けるというパターンもありますが、たいていはあきらめて他の町村へ出かけなければならない状態にしていますよね。

地方においてはもはや鉄道より、ガソリンスタンドやスーパーマーケットの方がはるかに大事な公共的施設になっているのが実態で、鉄道にだけ固執する理由って結局は

  • わが町から鉄道を撤退させたくはない
  • 私が首長の時に撤退させれば代々言い伝えられる
  • 選挙対策として鉄道廃線反対を唱える方が受けが良い

結局はこんな感じではないでしょうか。

 

 

バス化すると鉄道時代より利用者が減る

データを見る限り50%は利用者が減ると言われており、地域によってはさらに利用者が少なくなったとも言います。

地方ローカル線の主な利用者は学生で、通勤に使う人はかなり少数。

あとはお年寄りが利用する程度ですね。

バスが一般道を走るとすれば、鉄道より所要時間が長くなります。

それだけ時間がかかるのであれば自動車の方がマシとなるのでしょうね。

中には免許や車を持っていない方もおられますが、よく数人で乗りあって買い物や病院へ行く光景があります。

学生は仕方がなくバスを使うほか、自転車で通学する、家族に自動車で送ってもらうという方も多いでしょう。

よく鉄道がなくなりバスだけになると家から出なくなり、健康面でも心配という声も聞きますが、でも家の周りを散歩したりご近所さんと井戸端会議をされるお年寄りも多いと思いますし、そもそもほとんどの人が公共交通機関以外の移動手段を利用している現状において、少数の利用者ばかりに目が行くのもおかしな話だと思います。

 

ガソリンスタンドもスーパーマーケットも、地域によっては病院も町村内には無く、すでに自動車による移動が当たり前の時代に、ごく少数の鉄道利用者のために今以上に赤字を垂れ流すことが公共的視点から言って正しいとは思えません。

ネットにはびこる採算論者などと簡単に切り捨てますが、では赤字のローカル鉄道を存続させて誰がその補填を行うのですか。

JRの都市部の利用者が本来受けられるはずのサービスが、その補填のために使われている現状があります。

公共的思考として赤字ローカル線をどうしても残すのであれば、地元自治体と利用者が相応の負担を負うのが本筋ですし、都市部の鉄道利用者に負担を求めたり、国内の納税者に広く負担を求めるのであれば、鉄道にこだわらずに負担が最も軽くな交通手段の確保を考えるべきです。

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