電車とホームの隙間に落下する事故は、昔よりはかなり減少しているとは思いますが、本当にわずかな隙間であっても片足だけはまったといった事故は無くなりません。
東京メトロ日比谷線上野駅には可動式のホーム柵(いわゆるホームドア)が設置されているらしく、設置工事の際に邪魔だから転落防止ゴムを外し、工事終了後に戻し忘れたようですね。
どのくらいの隙間があるのかは知りませんが、5cmほどの隙間があると子供の足ならば簡単にはまってしまいます。
ちなみに電車とホームとの間に落下することを、私がいた会社では〝線間落下〟と呼んでいました。
もしも線間落下を目撃されたら、躊躇なく非常ボタン(ホーム非常通報装置)を押してください。
片足だけ落下している場合でも押してください。
特に大人で片足だけはまっている場合には、足首を捻挫や骨折しているケースがかなり多く、自力で脱出できないことが本当に多いのです。
また電車とホームとの隙間がやや広いホームは曲がっていますから、車掌からはかなり見にくいです。
線間落下した状態のまま列車が走り始めると、それこそ悲惨な事故につながりますので、とにかく列車を動かさないために非常ボタンを押してください。
ホームの非常ボタンでも車内の非常ボタンでもかまいませんので。
電車とホームとの隙間で思い出すのは阪神電車御影駅。
子供がまだ幼稚園に通っていた30数年前、三宮(現 神戸三宮)から特急で一駅の御影駅で降りようとしたのですが、乗車していたのが先頭車両。
現在は特急列車は1番乗り場に発着しますが、当時は2番乗り場発着。
先頭車両の3つあるドアのうち真ん中のドアの部分って、ホームとの隙間は50cm近くあったんじゃないのかな。(インカーブ)
大人の私でも飛び越えるようにして降りたのですが、子供は怖がって降りることができず泣き出す始末。
子供を抱えて降りた記憶があります。
この多大な隙間を少しでも解消するべく特急列車は1番乗り場発着とし、各駅停車を2番乗り場発着に変更。
阪神の各駅停車は4両ですから、もっともカーブの大きな部分にかからないように停車して線間落下の危険性を少しでも減らしているようです。
運転士になってからの話です。
緩い曲線ホームで電車とホームの隙間は先頭車両の部分で5~6cmほど。
お寺か神社かは忘れましたが、参拝客が多くてその大半は高齢の方。
何となく怖いなと思いながら乗務員室から顔を出して様子を見ていると、急に一人が私の視界から消えました。
女性の方で両足が隙間に落ちてしまい、お尻のあたりまではまり込んでいます。
通常ならば周りのお客さんにも手伝ってもらって助け出すのですが、見事にお年寄りばかりなのでそれは不可能。
私と車掌と駅員の3人がかりで引っ張り上げました。
たった5~6cmの隙間でも、お尻のあたりまではまってしまうことがあるのです。
結局その女性は救急車で病院へ搬送され、尾てい骨の骨折という重傷を負ったようでした。