列車番号とは各列車に割り振られた番号や記号で、同じ列車番号を重複して使わないようになっています。
たとえば列車番号「111」という列車が複数存在していると
「どの111列車のこと?いまA駅を出発した111列車?それともB駅に停車している111列車?」
となって、列車番号の意味をなさない状態になりますからね。
ただし別の路線を走行している列車など、同じ列車番号が重複していても特に問題が生じない場合は除きます。
多くの私鉄では本線とその本線から分岐する支線を一つのグループとして運用するので、このグループ内では列車番号が重複しないように設定することがほとんどです。
運転指令の監視範囲も、このグループごとに設置されていますしね。
でも同じ線路上を同じ列車番号を背負った列車が走行するということも、時として起こるんです。
もっとも多いのは事故や故障によって車両を振替する時です。
車庫が近接している駅などで車両を振替するケースが多いのですが、事故または故障でA駅まで走行してきた列車を「1001」列車とすると、振り替えるために車庫から出庫してきた列車も「1001」列車。
同じホームに向かい合って同じ「1001」列車が止まっているということが現実に起こるわけです。
運転指令の指令員も乗務員も間違わないようにするために
「1001事故列車」「1001振替列車」
のように区別して呼んでいます。
「1001振替列車」はA駅を出発すると「1001列車」と呼称されますが、「1001事故列車」はその後どのように呼ばれるのかというと
「1001のカス」
と私が所属していた乗務区では呼んでいました。
たとえば事故を起こした車両を車庫の何番線に入れるのかを、運転指令や乗務区の助役が車庫を管轄する係員に尋ねるときでも
「カスは何番に入った?」
今回の事例は仕方がなく起こる列車番号の重複です。
いちおう区別するための呼称も正式なものではないにしても、慣例として定着していますから問題なく運用できています。
まとめて書こうかと思いましたが、完全なミスによって同じ列車番号の列車が同時に走行していたということも何度か経験しました。
忘れていなければまた次回に書こうと思っております。