輸送主眼の夜行列車は消える運命 観光目的の列車とは切離して考える
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輸送主眼の夜行列車は消える運命 観光目的の列車とは切離して考える

あくまで個人的な意見

私自身は旅行が好きだったこともあり、若い頃はできるだけ交通費や宿代を浮かせることに懸命でした。

特に夜行列車と船・フェリーは頻繁に利用し、本当にあちこちに出かけました。

交通費と宿代を足した額より、夜行列車や船・フェリーを利用した方が安いことが多かったですから。

もっともよく利用したのが「344M(340M)通称大垣夜行」そして「827レ 山陰」ですかね。

船は「ダイヤモンドフェリー」や「関西汽船」(ともに現在のフェリーさんふらわあ)で九州にもよく行きました。

 

夜行列車擁護

2022年11月に入って立て続けに

盛況な寝台特急「サンライズ」後継車両はまだか “儲かる列車”に変えるための提言 と

鉄オタの妄想ではない! 今こそ「夜行列車」を復活させるべき5つの経済的視点

という記事が発表されました。

夜行列車をよく利用した私から見ても、かなり残念な記事だというほかなかったです。

特に「鉄オタの妄想ではない!」なんてタイトルが付けられている記事は、中身が一般利用者目線でもなければ経営的な目線でもない、完全に鉄道好きな人の願望ですからね。

 

「サンライズ」の乗車率は「瀬戸」はおおむね6割、「出雲」はおおむね8割と言われています。

「サンライズ」は7割程度の乗車率とよく報道されている通りだと思います。

また個室の需要がコロナ禍以降かなり高まっているので、夜行バスにはない快適性を求める層が利用しているようです。

それに加えて、夜行バスだと眠れないと敬遠する層が一定数いる(私のことですが)ことも、「サンライズ」を選択する理由の一つになっています。

旅行代理店で聞いた話では、岡山・姫路・三ノ宮・大阪からのビジネス利用が多く、明石にも停車させればもっと便利なのだがという話をうかがったこともあります。

 

利用率の面だけを見れば「サンライズ」は新型車両を製造してでも存続させるべき列車だとは思います。

ただ四国乗り入れは利用率の悪さからやめて、広島発着くらいが良いのかなと思います。

車両は夜行バスを料金面で意識したような「ノビノビ座席」はやめて、すべて個室にしないとダメでしょうね。

ここまで電車好きな方向けの記事。

 

 

夜行列車の存続は難しい

では夜行(寝台)列車ななぜ廃止されて今のように「サンライズ」のみになったのか。

何と言っても設備やサービスの悪さのわりに料金が高かったことですね。

高速道路の開通と夜行バスの台頭、飛行機運賃の低下、新幹線網の整備、それに対する国鉄は車両の老朽化と運賃・料金の相次ぐ値上げ。

そりゃ勝てるわけがない。

国鉄の分割民営化も大きかったが、夜行(寝台)列車が没落していったのは国鉄時代からの話。

「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」はJRになってから登場した列車なのだが、個室主体で列車に乗ることを目的とする観光要素の方が強く、他の夜行列車とは性格が違う。

人気があっても廃止した理由は車両の老朽化がもっとも大きな理由で、車両を新造して運行を行ってもそこまで利益が上がらない、新造車両の製造費を賄いきれないと判断したのではないか。

「カシオペア」は新造された車両で「北斗星」を上回る豪華な車両で人気もあったが、北海道新幹線開通前に廃止されている。

もしも人気が高く収益も十分に出ていたとすれば、青函トンネル内はJR貨物の機関車けん引でも運転できたと思うが、JR東日本としてはより収益が見込める新幹線へシフトしたということでしょう。

 

これに対して「サンライズ」には乗ることが目的の観光要素はなく、個室主体ではあるがあくまで鉄道本来の目的である「輸送」に主眼を置いた列車です。

それに対して「TRAIN SUITE 四季島」「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」「ななつ星 in 九州」は、収益以上に会社のイメージアップ向上という目的もある。

沿線各地とのタイアップなどによって、地域の魅力向上などにも寄与できます。

だからこそ、かなりの高額な料金設定であっても「乗車することが目的」だから、なかなか予約が取れない人気を誇っているわけです。

「サンライズ」は過去のブルートレインとは違ったイメージの良さから善戦はしているものの、それだけでは今後も運転が継続される保障にはならないでしょう。

 

列車関係の記事ってどうしても車両の話と乗車率の話で締めくくられますが、会社としては収益率とともに、労働環境の改善を図ることが重要です。

サンライズを今後も運転する場合に最も問題が出てくるのはJR東海かなと思います。

下りは現行ダイヤで熱海23:23~米原3:23

上りは現行ダイヤで米原1:43~熱海5:45

JR東海管内は深夜から未明にかけての運転となり、通常賃金に加えて早朝深夜手当などの人件費が必要になってくる。

これは直接運転に携わる運転士や車掌だけの話ではなく、乗務区の係員や客扱いで停車する駅の駅員にも及ぶ話です。

今の世の中の流れとして労働環境改善は重要ですから、夜間勤務は極力減らす方向へと進めていくのが会社としては正しい方向付けだろうと思います。

それにJR東海は東海道新幹線という儲け頭の存在が大きい。

「サンライズ」はJR東海管内で1日1往復という、新幹線に比べて極めて儲けが少ない列車。

その割に深夜から未明にかけての運転のために、経費は新幹線よりかかっているように思いますからね。

 

 

「観光」目的の列車と「輸送」目的の列車の違い

東京から大阪間は輸送需要自体は高い区間ですが、安く移動する人はバス、ゆったり移動する人は新幹線や飛行機で前乗りしてホテル泊が普通の考え方です。夜行バス自体が個室を備えるものが登場するなど、設備面でも運賃でも夜行列車をしのぐようになっており、よほど豪華な列車で乗車することが目的となるような新型車両を投入しない限り、夜行列車への回帰は難しい。

そうなると夜行列車とか寝台列車という括りではなく、クルーズトレインなどの仲間になるでしょう。

でも夜行列車よりクルーズフェリーを東京~大阪間に就航させる方が需要はあるように思いますけどね。

また気候環境問題と絡めて、鉄道は環境にやさしい乗り物であるから高速バス(夜行バス)から夜行列車へシフトしていくのが今からの潮流のような記事も散見しますが、バスだってEVバスの走行距離が最長で300Kmを超えるようになっており、それならばディーゼルエンジンのバスをEVバスに代替していけばすむことです。

 

観光目的の列車の運転はまだしばらくは活況を呈すると思います。

訪日旅行者向けにパッケージングすれば、今よりもっと需要は伸びると思います。

それに引き換え「輸送」目的の夜行列車はもう新たには誕生しないでしょう。

 

なんだろう

赤字ローカル線を擁護する論調と、夜行列車の復活を願う論調がどこか似ている気がする。

現実を見なさすぎなのか

願望や妄想だけで文字にしているのか

鉄道会社が収益を気にしない法人ならば赤字ローカル線も存続されるだろうし、夜行列車だって増加するだろう。

でも株式を上場した会社がそんな無責任な経営を行えるわけがない。

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