新幹線運転士「希望通りに年休取れず」JR東海に賠償判決
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新幹線運転士「希望通りに年休取れず」JR東海に賠償判決

あくまで個人的な意見

鉄道の乗務員をはじめ駅員など現業職種は、シフトの数だけ人数が必要です。

一人の人間が同時刻に別の列車を担当するとか、別の改札を担当するということは物理的に不可能ですから。

でも事務系の仕事と違って仕事が溜まるといったことはありあません。

そんな鉄道の現業職の中でも花形職種である運転士、それも新幹線の運転士が起こした裁判の結果が出ました。

 

JR東海の主張は認められず

JR東海の新幹線の運転士6人が「年休を希望通りに取得する権利を侵害された」として会社を訴えていた裁判の判決が、2023年3月27日に東京地裁で出されJR東海に賠償命令が下されました。

JR東海の新幹線の乗務員は就業規則などで、休暇取得を希望する日の前月20日までに申請するとなっており、規則通りに申請しても休暇希望日の5日前まで確定しないことも多く、必ず取得できるとも限らなかった。

これに対してJR東海側の主張は

需要に応じて臨機応変に臨時列車を運行することがあるので、直前まで必要な要員が確定しないこともあるなどとしていました。

また、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は(年休)取得日を変更できると労働基準法で定められていることも根拠として挙げていたようです。

判決では

今回の訴訟の対象となった2015~16年度は、JR東海の新幹線の乗務員は要員不足に陥っていたと指摘したうえで、

有給休暇申請後、相当な日数が経過後に年休取得希望日を変更させる運用は、合理的な期間を超えており労働者への配慮に反していると認定。

訴訟を起こした6人の運転士の年休取得によって事業(新幹線の運転)に支障が出るとしても、JR東海が労働基準法で定められた年休取得日を変更する権利を行使することは許されない。

また年休を希望した日の5日前まで、年休が取れるかどうかが分からないこともあるという運用自体が、労働者の利益への配慮に欠けているとし、ほぼJR東海の主張は認められなかった。

 

 

休暇取得予定日の2日前になっても分からなかった

私は関西某私鉄で30年以上駅勤務や乗務員をしてきました。

駅勤務をしていた1981年~は、特に入社5年未満の者は個人的な用事で休暇を取ることが事実上不可能な状態で、労働組合関係の行事か監督職が音頭をとって若手全員で遊びに行くという場合以外、まず休暇は認められませんでした。

著書の電車屋さんだったころの話 Ⅲ にも書いたのですが、自治体主催の成人式へ出席するために休暇申請を出しても門前払いの状態でしたから。

乗務員となってからは駅とは違って幾分年休は取りやすくなりましたが、それでも年末年始やお盆の期間中はかなり制限されていましたし、休暇取得予定の2日前になってもまだ休暇が取れるかダメかが分からないということはありました。

旅行を計画して宿を予約しておいても、直前になって休暇が取れなかったということもたまにありましたし。

家族で旅行へ行こうと計画してダメになり、宿のキャンセル料も必要になるしで家族間も険悪な雰囲気になるし、乗務員と出勤管理担当助役との間は一触即発の状態になるし。

なので5日前に休暇が認められるか否かが分かればまだマシではないのかな、とも思ったりはします。

 

直前になっても休暇が認められるか否かが分からない状態はダメだとして、夏休み期間中と年末年始の休暇取得は抽選となったこともあります。

抽選に漏れると年休が取れないということも問題だろうと、今度は先着順となったこともあります。

例えばお盆の期間の休暇申請は7月31日とすれば、抽選だと受付が1週間あって7月31日に当選発表とか、先着順だと休暇申請を行うための年休を取って7月31日は始発電車が走る頃から並んでいたとか。

いずれにしても混乱していました。

 

どうしても休みたい人は当日会社に電話して、「病気」だからと告げて会社に出てこないなんていう、強硬手段を使う人もいました。

体調が悪い人を電車に乗せるわけにもいかないので、会社としても渋々認めざるを得ないという、これもまた遺恨を残す状態になっていました。

 

 

どのような方法を模索しても上手くいかないと思う

ヤフコメを見ていると予備勤務者がいるのではないかといった書き込みもありますが、予備勤務者は事故や故障等で仕業通りに乗務ができない時や、臨時の出入庫が必要になった時など異常時に備えておく勤務者で、休暇取得者の補充では使われません。

休暇取得者の穴埋めに使うと異常時に乗務員がいなくなって、それこそ混乱のもとになってしまいます。

 

私が所属していた乗務区では循環表(仕業・シフトを並べたもので、循環表の順番通りに乗務していきます)に予備勤務のほか、休暇補充の日もありました。

誰かが年休を取れば、休暇補充者がその穴埋めを行います。

また循環表に入っていない乗務員もいて、こちらは毎日が休暇補充の扱いですが、日勤勤務時には早朝出勤や深夜退勤となる仕業には入らないなど、細かな取り決めもありました。

それに加えて休日出勤の人を休暇の補充として使ったり、乗務員だけでは補充しきれない時には監督者が乗務することもありました。

休暇が集中する日や時期に関しては、休暇補充者だけでは賄いきれないことが分かっているので、あらかじめ休日出勤してくれそうな乗務員を探しておいたり、監督職で乗務しても良いという人を目星を付けておいたりもしていました。

私も半年だけですが助役をしましたし、助役になってからの8月には休日出勤や泊り明けで残業で乗務もしました。

もうこれ以上は補充できる状態ではないところまで休暇を認めていましたので、それを超える場合には休暇を却下しなければなりません。

そしてギリギリまで補充者を探すために、休暇が取れるか否かの返答が2日前になったりもするのです。

このような状態を無くすためには大幅な乗務員の増員が必要になりますが、そんなことは現実にはできないでしょう。

運転士という職種は見習期間が長くて費用もかさむために、人員が不足しているからと言って急に増やすこともできないが、だからと言って人が足りないから年休はダメとなれば今回の裁判のようになるし。

5日前になってようやく年休の可否が告げられるのがダメとなれば、会社としては年休の補充者の人数までで年休の申請を締め切る以外に方法はないでしょうし、それを口実に早々に年休の申請を打ち切るということも考えられなくはありません。

 

裁判を起こした側の気持ちもすごく分かるし

会社側も実情を考えると仕方がない面もあるのかなと

 

新聞記事を読んだだけなので詳細は分からず、JR東海と乗務員との間で他にも何かがあって裁判にまで発展したのかもしれませんが、ただ乗務職場の特殊性も考える必要はあるでしょう。

そう思うとトラック等の運転手の2024年問題なんてどうなっていくのやら……

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